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包み料理とは?食品ロス削減につながる暮らしの知恵

公開日: 更新日:2026.01.18
蒸しあがった肉まんを割っている

毎日の食事づくりは、気づかないうちに時間や気力を消耗しがちです。
「余ってしまった」「使い切れなかった」という小さな迷いが重なると、台所は少しずつ負担の多い場所になっていきます。

そんな日常の中で、特別な道具や難しい工夫を必要とせず、食材も気持ちも整えてくれるのが「包み料理」です。包むというひと手間は、料理を頑張るためのものではなく、暮らしを少し楽にするための選択なのです。


包み料理ってどんな料理?

ロールキャベツを巻いている手元

食材を包む調理方法

包み料理と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
餃子の皮でひき肉を包む、薄揚げに卵を入れる、あるいはロールキャベツのように葉野菜で巻くなど、その形は実に多彩です。

包み料理とは、食材を皮や葉、粉生地などで包み、加熱や保存を行う調理方法です
代表的なものに餃子や春巻き、肉詰め、巾着などがありますが、共通しているのは「中身を守りながら調理する」という考え方です。包んで火を通すことで、食材はふんわりと温められます。包むことで水分や旨みが外に逃げにくくなり、調味料も少量で済みます。また、強い火が直接当たらないため、野菜やお肉が傷みにくく、栄養やおいしさを閉じ込めたまま仕上がります。

また、包み料理は、加熱ムラや焦げを防ぎやすく、失敗しにくい点も特徴です。
包むことで食材のまわりに熱と蒸気が行き渡り、急激な温度変化が起こりにくくなります。そのため、表面だけが先に焼けて中が生焼けになるといった失敗が起こりにくく、家庭でも安定した仕上がりになります。

包み料理は特別な道具がなくても始められるので、日常に寄り添った調理法と言えるでしょう。


和洋中・包みの魅力

包み料理は、和食・洋食・中華、あらゆる食文化に根付いています
和食では、「巾着玉子」や「信田巻き」など、油揚げや昆布を使い、出汁をじゅわっと染み込ませる繊細な味わいが特徴です。
一方、洋食では「ロールキャベツ」や「パイ包み」のように、食感のコントラストを楽しむ文化が発達しました。
中華では小麦粉を練った皮で包む「餃子」や「春巻き」が代表格ですが、これらは具材に野菜をたっぷり混ぜ込めるのが魅力です。

どの料理にも共通する特徴は、具材の組み合わせに自由度があり、分量を厳密に測らなくても成立する点です。冷蔵庫に残った少量の肉や野菜を組み合わせるだけで、一品になります。
食材価格が高騰している今、少ない材料で満足感を出せることは大きな利点です。包むことで見た目も整い、家族の食卓に出しやすいのも魅力です。


家庭で楽しむ包み

日々の献立に悩む人々にとって、包み料理は心強い味方です。一から手作りするのは大変そうに思えますが、実は「手抜き」ではなく「効率化」のツールになります。

例えば、春巻きの皮や油揚げなどは、スーパーで手軽に買える魔法の容器です。これらを使うことで、バラバラになりやすい具材もひとまとめになり、見た目にもボリュームが出て、家族の満足度が格段に上がります。いつもの野菜炒めを春巻きの皮で巻いて揚げるだけで、全く別の料理として食卓を彩ることができます。
包むというひと手間が、調理のバリエーションを無限に広げてくれるのです。

また、家庭で包み料理を楽しむ最大のポイントは、気負わず続けられることです。
きれいに包めなくても問題ありませんし、多少具材が偏っていても味に大きな影響は出ません。むしろ「余ったものをどう包むか」を考える過程が、食品ロス削減につながります。特別な行動をしなくても、日々の料理の選び方を少し変えるだけで、その一部は確実に減らせます。

特別な日のご馳走だけでなく、冷蔵庫に残った食材を包む日常の工夫こそが、私たちの台所をもっと気楽で、豊かな場所にしてくれます。
包み料理は、無理なく続けられ、暮らしの中で自然に環境にもやさしい選択につながる調理法です。


包むことで食材を無駄にしない

カット面が見えているチキンロール

不揃い・少量OK

包み料理の大きな利点は、食材の形や分量を選ばない点にあります。
冷蔵庫の隅に残りがちな、少量の野菜や使い切れなかったお肉。これらは「一皿の料理」にするには量が足りず、つい後回しにされてしまう食材です。しかし包み料理では、そうした存在がむしろ味わいを支える大切な要素になります。たとえば、少しだけ残ったにんじんや葉物野菜も、刻んで餃子の餡や巾着の具に混ぜ込めば、自然に料理になじみます。

日本の家庭から出る食品ロスのうち、約4割は食べ残しや手を付けないまま捨てられた食品だとされています。「いつか使おう」と思って残したまま、気づけば鮮度を落としてしまう経験は、多くの家庭に心当たりがあるのではないでしょうか。
包み料理は、分量に厳密さを求めないため、冷蔵庫にあるものを気負わず受け止めてくれます。少しずつを組み合わせることで味に奥行きが生まれ、無理なく食品を活かす習慣へとつながっていきます。


見た目の欠点は“包む”で解決

食品が捨てられる理由には、味や安全性ではなく「見た目」も大きく関係しています。傷のある野菜や形の悪い食材は、品質に問題がなくても敬遠されがちです。実際に生産の現場でも、規格外や見た目を理由とした廃棄は少なくありません。

こうした「見た目の欠点」を物理的にカバーできるのが、包み料理の強みです。
食材の表面に出やすいしおれや色の変化は、包んで調理することで自然と目立たなくなります。その分、加熱によるしっとりとした食感や、やさしい甘みが引き出されます。

包み料理では、見た目よりも味わいや栄養に意識が向きやすくなります。包むというひと手間が、食材を見る気持ちを切り替え、もう一度「おいしく食べられるもの」として向き合うきっかけをつくってくれます。

調理工程で包むという一手間を加えるだけで、食材の価値を下げずに活かせる点は、日常に合った方法と言えます。中身を隠すのではなく、中身の良さを引き立てるために外側を整える。この発想の転換が、見た目重視の消費サイクルから抜け出し、食材を最後まで使い切るための無理のない解決策となるのです。


家庭の廃棄を減らすSDGsな習慣

日本の食品ロスは年間約472万トンとされ、そのうちおよそ半分が家庭から発生しています。SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」でも、家庭での食品廃棄削減は重要なテーマとして掲げられています。この数字を減らすために、私たち一人ひとりができる行動の一つが、「食材を使い切る」という意識です。

難しいことを始めなくても、台所の中でできることはたくさんあります。
包み料理を日常に取り入れることは、特別な設備や高価な食材を必要とせず、調理の考え方を少し変えるだけで実践できます。ばらばらに残った食材をひとまとめにできるようになると、「中身はこれでいい」という心の余裕が生まれ、結果としてスーパーでの買い物も計画的になります。
単にゴミを減らすだけでなく、食材を最後まで活かせたという実感は、暮らしに前向きな満足感をもたらします

包むという調理習慣は、無理なく続けられ、生活の質を落とすことなく環境への負荷を下げる有効な手段です。特別な活動ではなく、日々の台所仕事の中で「包む」という選択肢を持つこと。それこそが、持続可能な社会を支える、最も身近で力強い一歩なのです。


包むと家事が賢くラクになる

冷凍庫に入っている餃子

作り置きで叶える時短家事

日々の夕食作りにおいて、最も時間を要するのは「献立の決定」と「食材の下処理」です。実は包み料理は作り置きとの相性が非常に良く、包み料理を週末などにまとめて仕込んでおくことは、この二つの工程を劇的に効率化させます

具材を包んだ状態で下ごしらえを済ませておけば、食べる直前は加熱するだけで済みます。例えば、餃子や春巻きを一度に大量に包んでおけば、平日は「焼く」「揚げる」といった最終加熱だけで済みます。
ゼロから調理を始める場合に比べ、下ごしらえ済みの料理を活用することで調理時間を短縮できます

また、包み料理は味がなじみやすく、時間が経っても品質が落ちにくいため、作り置きでも満足感を保てます。献立を先に決めやすくなる点も、家事負担の軽減につながります。

さらに、包む作業は家族を巻き込みやすいという側面もあります。一人でこなす家事は負担ですが、多世代で楽しみながら包むことで、心理的な労働負荷が分散されます。

このように、包み料理はその日の食事を用意するだけでなく、あとからの自分を楽にしてくれる工夫でもあります。まとめて作っておけば、調理にかかる手間やエネルギーも抑えられ、家事全体をスムーズに回しやすくなります。


冷凍保存で賞味期限を計画的に

食材の鮮度をどう保つかは、家庭で食品ロスを減らすうえでとても大切なポイントです。

包み料理は、生のままでも、加熱してからでも冷凍保存しやすい調理法です
食材をそのまま冷凍すると乾燥や酸化が進みやすいですが、皮や油揚げで包むことで具材が外気から守られ、冷凍焼けを防ぐ「バリア」の役割を果たします。これにより、通常の冷蔵保存では数日しか持たないひき肉や野菜も、冷凍することで、水分や旨みの流出を抑えながら、2週間から1か月ほど保存することが可能になります。
包み料理にしてから冷凍庫に入れることは、食材を使い切るための時間を確保する工夫とも言えるでしょう。

農林水産省も、家庭での冷凍活用は食品ロス削減に役立つとしています。包み料理は一食分ずつ分けやすく、解凍後も水分や旨みが残りやすいのが特徴です。
賞味期限に追われるのではなく、使うタイミングを自分で選べるようになることが、日々の家事に余裕をもたらしてくれます。


冷蔵庫管理の工夫

冷蔵庫の中がごちゃついていると、「何があるのか分からない」「同じものをまた買ってしまった」ということが起こりがちです。そんなときに役立つのが、包み料理を使った“冷蔵庫の見える化”です。

野菜や使いかけの食材をバラバラに保存していると、どうしても存在を忘れやすくなります。実際、「うっかり忘れていた」という理由で食材を手放してしまうことは、意外と多いものです。包み料理としてひとまとめにしておけば、用途がはっきりし、保存容器の中もすっきり。何がどれくらいあるのかが一目で分かるようになります。

実は、冷蔵庫に物を詰め込みすぎると冷却効率が下がり、電気代が少し上がることもあると言われています。包み料理で食材を集約し、定位置を決めて管理することで、冷気の通り道ができて省エネになり家計にもやさしい工夫です。

さらに、「あとは焼くだけ」「温めるだけ」という状態が目に入ることで、買い物前に必要な食材を判断しやすくなります。結果として、無駄な買い足しが減り、食材の循環もスムーズに。

包み料理を軸にした冷蔵庫管理は、日々の家事を少しラクにしながら、食品ロスやエネルギーの無駄も減らしてくれます。冷蔵庫を“ただの保管場所”ではなく、“上手に暮らすための道具”として使うための、無理のない工夫と言えるでしょう。


包み料理を暮らしに根付かせる

薄揚げに具入りのご飯を詰めている手元

無理なく続けるコツ

家事に使える時間が限られているご家庭は年々増えています。平日の料理を負担に感じている人が多い今、包み料理の「まとめて下ごしらえができる」という特長は、忙しい日ほど心強い味方になります。

しかし、どんなに環境にやさしい方法でも、手間がかかりすぎると長くは続きません。包み料理を習慣にするための一番のコツは、「きちんとやろう」と思いすぎないことです。
包み方が少し崩れていても、味や安全性に大きな違いはありません。皮を一から作ったり、きれいな形に仕上げたりする必要もありません。市販の餃子の皮や油揚げ、冷凍のパイシートなど、手に入りやすいものを上手に使えば十分です。
「余ったら包んでおこうかな」くらいのゆるいルールがちょうどいいのです。

また、特別な調理器具を揃えなくても、ラップや布巾、茹でたキャベツの葉など、身近なもので代用できます。完璧な仕上がりを目指すよりも、「冷蔵庫が少し整った」「もう一品助かった」という小さな成功を重ねることが大切です。
その積み重ねが、無理なく続く家事につながり、結果として食品ロスの削減にもつながっていきます。

包み料理は、頑張るための工夫ではなく、暮らしを少し楽にするための選択肢なのです。


包むタイミング

包み料理を習慣にするために、もうひとつ大切なのが「いつ包むか」という自分なりのリズムを見つけることです。
わざわざ「包むための時間」を作ろうとすると、どうしても腰が重くなってしまいがちです。おすすめなのは、「余りそうだな」と感じた瞬間を、包む合図にすることです。

例えば、使い切れなかった野菜や、下味をつけたまま出番を待っているお肉。今日すぐに使わないと分かっている食材は、その日のうちに包んでおくことで、迷わず保存に回せます。「あとで考えよう」と先延ばしにしないことが、結果的に手間を減らします。

週末にまとめて準備して「平日の貯金」を作るのもいいですし、平日の夜に「明日のお守り」としてひとつだけ包むのも素敵です。包まれた食材が冷蔵庫や冷凍庫にあるだけで、気持ちはぐっと楽になります。

「いつやってもいい」という自由さも、包み料理の魅力のひとつ。決まった正解はありません。
包むタイミングを特別な作業にせず、日々の流れの中に組み込むこと。そうすることで、包み料理は無理なく暮らしに根付き、自然と続く習慣になっていきます。


「包み料理」は、単なる調理法の一つではなく、今の暮らしをちょっと良くするための、自分への贈り物のような習慣です。
冷蔵庫の中が整い、食材を大切に使い切れるようになると、不思議と心にも余裕が生まれます。「今日はこれを焼くだけ」という安心感が、忙しい夕方のあなたをきっと助けてくれるはずです。

包むという行為は、小さくても確かな、暮らしを支える知恵なのかもしれません。



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この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。