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幸せを食べきる!「食品ロス」を出さない、恵方巻き新時代

公開日: 更新日:2026.02.01
恵方巻と鬼の面、鰯と柊、節分豆


節分といえば、恵方巻き

ここ数年、すっかり季節の風物詩として定着しましたが、その一方で「量が多くて食べきれない」「なんとなく買ってしまう」と感じたことはありませんか。
実はこの背景には、節分の裏側で起きている食品ロスの問題があります。

本来、恵方巻きは福を願い、感謝して食べる行事食
けれど、決まりや慣習にとらわれすぎると、楽しさよりも負担が先に立ってしまうこともあります。

大切なのは、伝統の「形」をなぞることではなく、命を大切にいただく「心」です
今年は、恵方巻きを「食べきれない縁起物」から、「幸せをきちんと食べきる行事食」にしていきませんか?


恵方巻きとは

恵方巻を丸かぶりする女性

恵方巻きはどんな行事食?

恵方巻きは、節分の日に食べる「巻き寿司」のことです
その年の恵方(縁起のよい方角)を向いて、願いごとを思い浮かべながら食べると、福を招くとされています。

恵方巻きのルーツは、江戸時代末期から明治時代にかけての大阪・船場(せんば)周辺の風習にあると言われています。商売繁盛や厄除けを願って、節分に太巻きを食べる習慣がありました。

全国的に定着したのは比較的最近のことで、「豆まき」と同じく、一年の無病息災や幸せを願うための行事食として親しまれてきました。


なぜ“巻き寿司”なの?

恵方巻きの特徴は、何といっても「巻いてある」こと。

巻く、という行為には
○縁をつなぐ
○福を包み込む
といった意味が込められています。

また、一本を切らずに、そのまま恵方を向いて黙って食べるのは、
○途中で切らない=運を切らない
○その年の歳徳神(福徳を司る神様)と向き合う
○言葉を発することで運を逃さない
といった意味が込められています。

つまり恵方巻きは、特別な料理というよりも、「巻くことで縁起を担ぐ食べ物」「幸せを丸ごと手に入れるというポジティブな願いが詰まっている食べ物」だと言えます。


基本の具材「7種」に込められた意味

恵方巻きには、一般的に7種類の具材を入れるとされています。これは「七福神」にちなみ、福を重ねる意味があるといわれています。

代表的な具材と、その意味は次のようなものです。
○かんぴょう:縁結びや家運長久の意味
○しいたけ煮:災いから守る、お守りのような意味
○卵焼き・伊達巻:繁栄・金運アップを願う黄色い色合い、巻物の形から「知恵」「学業成就」の象徴
○うなぎ・穴子:出世運や上昇運を願う縁起物
○桜でんぶ:見た目の華やかさから「喜び」「祝い事が多い一年」を願う具材
○きゅうり:「まっすぐ育つ」「成長」のイメージ
○海老:「腰が曲がるまで長生きする」という長寿のシンボル
○高野豆腐:栄養豊富さから健康・体力向上への願い、また「含め煮」にすることから「福を含む」意味

海老を入れて7種とするか、高野豆腐を入れて7種とするかは、地域差、店舗によって異なっています。
しかし、ここで大切なのは、「何を入れるか」よりも「意味を込めること」なのです。7種の内容に厳密な決まりはないのです。


方角を向く、無言で食べる、具材はこれでなければならない――そうした作法がよく語られますが、本来の目的はとてもシンプル。
「これで福を願いたい」 そう思って食べること

恵方巻きは、厳密なルールを守るためのものではなく、願いを込めるための、やさしい行事食なのです。


近年の恵方巻きの問題点

恵方巻に困り顔の女性

いつから「大量販売」が当たり前になった?

恵方巻きは、本来は家庭や地域で静かに楽しまれてきた行事食でした。
しかし近年では、節分が近づくとコンビニやスーパーに恵方巻きがずらりと並び、予約販売・大量製造が当たり前の光景になっています。

背景には、
○節分商戦としての注目度の高さ
○「その日しか売れない商品」であること
○機会損失を避けたいという販売側の事情
などがあります。

そして、節分の時期になるとニュースやSNSで話題になるのが、売れ残った恵方巻きの「大量廃棄」です。 
縁起物として需要が一日(節分の当日)に極端に集中するため、小売店は欠品を恐れて多めに発注・製造しがちです。その結果、消費期限が短い生寿司は、翌日にはその多くがゴミとして捨てられてしまうという悲しい現実があります。


節分の裏側で起きている「食品ロス」

節分当日を過ぎると、恵方巻きはほとんど売れません。

本来、恵方巻きは「一年の無病息災」や「商売繁盛」を願う清らかな行事食のはずです。 しかし、その裏側で膨大な食品ロスが発生している現状は、私たちが大切にしたい「自然への感謝」や「もったいない」という精神とは相反するものです。

○食べられる状態なのに捨てられる
○原材料・労力・エネルギーが無駄になる
○「縁起物」が「もったいない」の象徴になってしまう

これは、私たちが望んだ姿ではないはずです。
持続可能な社会(SDGs)を目指す現代において、恵方巻きの「作りすぎ・捨てすぎ」は、無視できない大きな課題となっており、食べ物を粗末にしながら福を願うという矛盾に、多くの人が疑問を感じ始めているのです。


「一本丸ごと」は、誰のための縁起物?

もう一つの大きな問題は、現代のライフスタイルと恵方巻きのスタイルの「ズレ」です。

恵方巻きは、「太巻きを一本、無言で食べる」という伝統的なイメージは、小さなお子様やご高齢の方、少食の方にとっては、実は完食するのが難しいボリュームでもあります。家族構成の変化もあり、「買ったけれど食べきれない」「なんとなく残してしまう」というケースが少なくありません。

さらに問題を複雑にしているのが、「節分だから恵方巻きを食べなきゃ」「買わないといけない気がする」という周囲の空気が、本来楽しいはずの行事食をいつの間にか「義務」や「負担」に変えてしまってはいないでしょうか。

恵方巻きが抱える問題は、単なる販売方法の話だけではありません。行事の形式と、私たちのリアルな暮らしとの距離が少しずつ離れてしまっていること。それこそが、食べ残し(ロス)を生む真の原因なのかもしれません。


恵方巻き新時代

いろいろな具材、小さなサイズの3種の恵方巻

恵方巻きを「決まり」から解放する

恵方巻きというと、
「太巻き一本を無言で」
「決められた具材で」
「正しい方角を向いて」
というイメージが先行しがちです。

けれど、それらは目的ではなく、手段でした。
本当に大切なのは、一年の福や無事を願う気持ちそのものです。


「巻いて食べる」に込める、新しい意味

「流行だから」「買わなきゃいけないから」という義務感で消費されていた面もありましたが、今はその価値観が変わりつつあります。 大切なのは、豪華なものを買うことではなく、その年が良い一年になるよう「福を願う」という純粋な気持ちです。

恵方巻きの本質を、あらためて一言で表すなら、「巻いて食べる」という行為に縁起の意味を重ね、『これで福を願いたい』と思って食べるもの
それが、今の時代の恵方巻きです。

この定義に立てば、
○海苔巻きでなくてもいい
○具材は家にあるものでいい
○サイズも形も自由
になります。

縁を包み、福を願う
その気持ちがあれば、恵方巻きは成立します。


「食べきれる」が、いちばん縁起がいい

最近では、受注生産(予約販売)に切り替える店舗も増えています。 「食べられる分だけを用意する」ことは、自分たちの運気を整えるだけでなく、社会全体のロスを減らす「徳を積む行為」でもあります。

必要な分を用意して、感謝して、最後までいただく。このシンプルで誠実なスタイルが、現代の新しいスタンダードになりつつあります。

食品ロスを出さないことは、単なる節約ではありません。
○食材を無駄にしないこと
○作り手の想いを大切にすること
○自分の暮らしのサイズに合わせること
こうした選択の一つひとつが、実は「福」を丁寧に扱うことにつながります。

食べきれる量を、気持ちよく食べる」
それは、今の暮らしにフィットする、一番新しい縁起担ぎです。


恵方巻き手作りのヒント― 自由でサステナブルな楽しみ方 ―

ご飯、春巻きの皮、ロールケーキなど、いろいろなシン・恵方巻

「一本」にこだわらないサイズの工夫

恵方巻きは、必ずしも太巻き一本である必要はありません。市販の太巻きは大きすぎて食べきれない…という方は、サイズを自由に調整しましょう

中巻き・細巻きで: 小さなお子様や少食の方には、細巻きがおすすめ。最後まで黙々と、無理なく食べきることが「福」を逃さないコツです。
ハーフサイズ・食べやすい長さにカット:苔をカットして巻けば、手軽な食べきりサイズに。数種類の味を少しずつ楽しむのも現代流です。

食べきれる量を選ぶことが、いちばん大切なポイントです。
「残さない」こと自体が、縁起を大切にする行為だと考えてみてください。


具材の置き換え:わが家の「新・七福神」

基本の7種にこだわらず、冷蔵庫にあるものや、家族の好物を「意味」を込めて巻い巻いてみませんか。

○お肉を巻いて「パワーチャージ」:甘辛い牛肉や照り焼きチキンをメインに。
【願い】 力強く、バイタリティあふれる一年を過ごせるように。
○彩り豊かな「洋風アレンジ」:サーモン、アボカド、クリームチーズで華やかに。
【願い】 笑顔が絶えない、明るくカラフルな家庭をイメージして。
○家庭の味を「日常の幸せ」に:きんぴらごぼうや卵焼きなど、いつもの常備菜を。
【願い】 暮らしを支える「知恵」を大切に、日々の平穏に感謝して。
○余り野菜を「無駄のない心」に:冷蔵庫に残った野菜も、工夫次第で立派な具材に。
【願い】 物を大切にする「清らかな心」で、良き循環を呼び込むように。
○規格外食材を「個性の福」に:形が不揃いな食材も、巻いてしまえば一つの美味しさに。
【願い】 ありのままの「個性」を受け入れ、多様な幸せを認め合えるように。

7種にこだわらず、「思いを込めた具材」で十分です


海苔巻きだけじゃない!バラエティ豊かな「巻き」のアイデア

「巻く」ことが本質なら、形は自由

○薄焼き卵で巻く:「オム巻き」にすれば、見た目も華やかで黄金色の縁起物になります。
○レタスや生春巻きで:サラダ感覚でヘルシーに。シャキシャキとした食感は、新しい一年の「瑞々しさ」を象徴します。
○デザート恵方巻き:食後には、クレープ生地やロールケーキを恵方巻きに見立てて。これなら食品ロスを気にせず、家族みんなで完食できます。
○ラップで包んで“巻いた形”にする:ラップの上でご飯と具材を巻くだけ。サイズも自由で、海苔が苦手な方でも楽しめる、やさしい恵方巻きです。

噛みやすさや好みに合わせた工夫も、立派な恵方巻きです。



恵方巻きは決して、決められた型を守ることだけが正解ではありません。時代や暮らし、それぞれの価値観に合わせてしなやかに変わっていく行事食です。

家族や大切な人と「何を願う?」「この具にはどんな意味を込めようか?」と語り合いながら手を動かす。
食べ物だけでなく、その考える時間や会話までもが、丸ごと「福」として包み込まれていく――それこそが、手作りならではの醍醐味です。

「食べきれる量」を大切にする
「無理のない方法」で用意する
「今の自分」に合わせて楽しく願う

こうした小さな選択の積み重ねが、食品ロスを生まない、人にも地球にもやさしい節分につながります。
今の暮らしに心地よく馴染む新しいスタイルで、あなたらしい福を呼び込んでみませんか。



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この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。