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「捨てない」を「つなぐ」へ。フードバンク認証制度がスタートしました

公開日: 更新日:2026.04.05
食料を受け渡しする女性たち

最近、「フードバンク」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
けれど、「実際にどんなことをしているのかまではよく知らない」という方も多いのではないでしょうか。

まだ食べられるのに、外箱の破損や賞味期限が近いなどの理由で行き場を失ってしまう食品を引き取り、必要とする方々へ届ける活動です。

「もったいない」が、「ありがとう」に変わる。そんな新しい仕組みが、少しずつ広がり始めています。

そしてこの4月、その取り組みをさらに広げていくために、国による新しい「認証制度」が本格的にスタートしました。
一見、専門的なニュースに聞こえるかもしれませんが、実は私たちの食生活や、日々のお買い物とも深くつながる大切な一歩なのです。


フードバンクってどんな仕組み?

DONATIONと書いた箱に食品を入れる複数の手

「フードバンク」とは、食品メーカーや小売店で行き場を失った在庫や、家庭で使いきれなかった食品を、食べ物を必要としている方や福祉団体へ届ける「食の架け橋」のような仕組みです。
近年、日本でもその存在感は増しており、単なるボランティア活動の枠を超えて、社会を支える大切なインフラの一つになりつつあります。

この活動の素晴らしいところは、二つの課題を同時に解決できる点にあります。
食品ロス削減:まだ食べられる食品が捨てられるのを防ぐ
生活支援:経済的な事情で困っている方々へ、食事の安心を届ける

「もったいない」という気持ちを、誰かの「おいしい」という笑顔に変える。フードバンクは、今の時代に欠かせない、優しさが循環する仕組みなのです。


「フードバンク認証制度」ってなに?

四角にチェック Certificateの文字

国が「安心」を見える形にする仕組み

フードバンク認証制度は、簡単に言うと、国が「この団体は食品を安全に、適切に扱っています」とお墨付きを与える制度です。

これまでは各団体が独自のルールで活動していましたが、これからは適切な食品管理や運営体制を整えた団体が、一定の基準に基づいて正式に「認証」を受けることになります。


寄付する側・受け取る側、どちらにも安心を

【企業が「安心して」食品を託せるように】
食品を扱う企業にとって、最も大切なのは「安全」です。「せっかく贈った食品が、もし不適切に扱われたら……」という不安が解消されることで、より多くの企業が積極的に寄付を行いやすくなります。

【冷凍・冷蔵食品など、届けられる種類が増える】
これまで管理が難しく、寄付をためらわれがちだった冷凍・冷蔵食品。認証によって適切な管理体制が証明されれば、こうした食品も扱いやすくなり、支援のバリエーションがぐっと広がります。

【受け取る方へ「安全な食べ物」が届く】
何より大切なのは、食品を受け取る方の安心です。国の基準を守って届けられることで、誰もが安心して口にできる「食のセーフティネット」としての信頼性が向上します。


こうして生まれる「安心の輪」が、食品の流れを少しずつ変えていき、これまでやむを得ず廃棄されていた食品が、必要とする人のもとへとしっかり届くようになります。
そんな積み重ねが、食品ロス削減をより身近で現実的なものにしていきます。無駄にしない仕組みが広がることで、食を大切にする社会へとつながっていくのです。


なぜ今、この制度が必要なのか?

缶詰を確認する人々とチェック用紙をもった女性

広がる活動の中で見えてきた課題

フードバンクの取り組みは年々広がってきましたが、実は大きな課題もありました。
それは活動内容や安全管理の基準が、それぞれの団体でバラバラだったことです。


食品だからこそ求められる共通ルール

食品を扱う以上、安全性は欠かせません。

企業にとって、万が一の衛生事故や転売などのトラブルは避けなければならないリスクです。「寄付したい気持ちはあるけれど、相手先がどう管理しているか見えにくい」という不安が、支援をためらわせる一因にもなっていました。

だからこそ、誰もが安心して関われるための“統一された基準”が必要とされてきました。


食品ロス削減を進めるための大きな一歩

日本は今、2030年までに家庭や企業から出る食品ロスを2000年度比で「半減」させるという高い目標を掲げています。

この目標を達成するためには、単に「捨てない」だけでなく、余ったものをスムーズに「つなぐ」仕組みを強化しなければなりません
そこで、国が統一したルール(認証制度)を作ることで、企業が安心して支援に加われる「信頼の架け橋」を構築することになったのです。


バラバラだった活動がひとつの大きな流れになることで、食品ロス削減のスピードはこれまで以上に加速していくはずです。


私たちの暮らしとどう関係する?

食品棚の手前から商品を手にする女性

安心して「選べる」社会へ

フードバンク認証制度が始まることで、食品ロス削減の取り組みそのものの信頼性が高まっていきます

私たちが普段利用しているメーカーやお店が、この認証を受けた団体を通じて食品ロス削減に取り組むようになれば、その企業の「食品を大切にする姿勢」がより見えるようになります。
「このお店は、余った食品を最後まできちんと活かしているんだな」という安心感は、私たちが商品を選ぶ際の大切な基準のひとつになります。


私たちにできる小さな一歩

この仕組みは、企業や団体だけのものではありません。私たち一人ひとりの行動とも、しっかりつながっています。

たとえば、
「手前取り」を意識する:すぐに食べるものは棚の手前から取る、そんな小さな習慣がお店の廃棄を減らします。
地域のフードドライブを知る:ご家庭で余っている食品を持ち寄る「フードドライブ」に参加してみるのも素敵な一歩です。
SNSで広める:このような新しい取り組みを「知る」「伝える」だけでも、社会の関心を高める大きな力になります。

制度という「大きな仕組み」と、私たちの「小さな習慣」。この二つが重なり合うことで、食品ロスは着実に減っていきます。日々のささやかな行動も、社会の仕組みとつながり、無駄にしない未来を支える力になっていくのです。



これまで「もったいない」で終わっていた食品が、必要とする人へと確実に届く
フードバンク認証制度」のスタートは、単にルールが決まったというだけでなく、社会全体で食品ロスを減らしていくための「信頼のインフラ」が整ったことを意味しています。

食品ロス削減は、特別なことではありません。
日々の選択や、小さな行動の積み重ねが、社会全体の変化につながっていきます。

「捨てない」という意識から、「つなぐ」という選択へ。私たちの食生活は今、より豊かで誠実なものへと変わろうとしています。



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消費者庁:フードバンク認証制度について

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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。