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「衣替えするのは、服だけですか?」見直したい、“食品のしまい込み”

公開日: 更新日:2026.06.07
窓辺のすっきりしたストック棚

衣替えの季節になると、クローゼットを整理しながら「こんな服持っていたんだ」と思い出すことがありますよね。
実は同じことが、キッチンやパントリーでも起きています。賞味期限ギリギリの調味料、買ったことを忘れていた乾物、奥から出てくる缶詰やお菓子。気づかないうちに、食品も“しまい込み”が起きているのです。

「安いから買っておこう」「いつか使うかも」と思ってストックしたものほど、存在を忘れやすくなります。そして、気づいたときには期限切れになってしまい、「もったいない」と思いながら処分することに。これは、家庭で起きる食品ロスの小さな入り口でもあります。

日本では年間約464万トンの食品ロスが発生しており、そのうち約半分は家庭から発生しています。食品ロスというと事業者の問題と思われがちですが、私たちの暮らしの中にも減らせる余地がたくさんあるのです。

季節の変わり目は、家の中を整える絶好の機会。服に衣替えがあるように、食品にも“見直すタイミング”が必要なのかもしれません。
まずはキッチンの棚や引き出しを見渡して、“食品棚の衣替え”を始めてみませんか?


なぜ「食品のしまい込み」が起きるのか?

食品棚と食品を出そうとしている手

見えない場所ほど忘れやすい

食品の“しまい込み”とは、買ったものを収納の奥に入れ、そのまま存在を忘れてしまう状態のことです。特に起きやすいのが、乾物・缶詰・調味料・お菓子など、すぐに食べなくても困らない食品です。

冷蔵庫の中は毎日開け閉めするため比較的目に入りやすい一方で、パントリーや引き出し、ストック棚などの「常温収納」は確認する機会が少なく、”見えない場所”になりがちです。さらに奥行きのある収納では、新しく買った食品を手前に置くことで、古い食品がどんどん奥へと隠れてしまいます。

季節限定の調味料なども、「まだ大丈夫」という安心感から見直しが後回しになりがちです。また、防災用に用意したローリングストックも、定期的な入れ替えができていないまま、気づけば賞味期限が近づいていることがあります。

悪気はなくても、日常の動線から外れた常温収納こそ、最も“しまい込み”が起きやすい危険地帯なのです。


しまい込み=「隠れ食品ロス」の温床

しまい込まれた食品は、まだ捨てられていなくても、実質的には「使われていない食品」です。見えなくなることで存在を忘れ、「ないもの」と同じような扱いになってしまいます。つまり、しまい込みは「隠れ食品ロス」の予備軍です。

本来は食べるために買ったはずなのに、「いつか使う」の“いつか”は、意識して機会を作らない限り、なかなかやってきません。
気づいたときには賞味期限が切れており、「もったいない……」と罪悪感を抱えながら処分することになってしまいます。

そんな無意識の積み重ねが、家庭の食品ロスにつながっています。
だからこそ、冷蔵庫以上に「常温収納」の定期的な見直しが必要なのです。


衣替え感覚でできる「食品の棚卸し」

テーブルの上に置かれたいろいろな保存系食品

衣替えのとき、クローゼットの中を全部見直すように、食品も定期的に“棚卸し”してみるのがおすすめです。

食品の棚卸しは、単に片付けることが目的ではありません。今あるものを把握して、「まずはこれを食べよう」と意識できるようになることが大切です。無理に完璧を目指さなくても、定期的に少し見直すだけで、食品との付き合い方は変わっていきます。


まずは全部出してみる

食品の棚卸しで最初におすすめしたいのが、「一度全部出してみる」ことです。服の衣替えでも、クローゼットから出して初めて「こんな服あったんだ」と気づくことがありますよね。

まずは、キッチンやパントリーの棚の奥にあるものを、思い切ってすべてテーブルの上に並べてみてください。普段、外側から眺めているだけでは決して見えなかった「我が家のリアルな在庫」が目の前に広がります。
すると、「あ、使いかけのドレッシングがこんなところから出てきた」「同じ乾物が複数ある!」といった、驚きの発見が必ずあるはずです。

まずは一度すべてを出し、賞味期限が近いものやダブっているものをフラットな状態でチェックすること。これが、しまい込みを解消するための最も大切なファーストステップになります。


賞味期限の「見える化」と「仕分け」

食品を全部出したら、次は賞味期限をチェックして仕分けしてみましょう。「期限が近いもの」「まだ余裕があるもの」「すでに期限が過ぎているもの」に分けるだけでも、かなり整理しやすくなります。

ここで知っておきたいのが、「賞味期限」と「消費期限」の違いです。
賞味期限は“美味しく食べられる目安”であり、期限を少し過ぎたからといって、すぐ食べられなくなるわけではありません。一方で、消費期限は”安全に食べられる期限”なので、こちらはより注意が必要です。

賞味期限が近い食品は、棚の手前に移動したり、目立つ場所にまとめたりして使い忘れを防ぎましょう。付箋やマスキングテープで日付を大きく書いて貼るなど、手軽な「見える化」をするだけでも、「早めに使おう」という意識が自然と生まれてきます。


“食べる順”を決める仕組みづくり

食品ロスを減らすために、難しいルールは必要ありません。実は、「どれから食べるか」の仕組みを作るだけでも、しまい込みはかなり防ぎやすくなります。

仕分けが終わって棚へ戻すときは、基本の「手前に賞味期限が近いもの、新しいものは奥へ」という、お店のディスプレイと同じ並べ方を意識しましょう。

さらに効果的なのが、カゴなどを一つ用意して「今週食べるコーナー」を作ることです。
期限が迫っている使いかけの調味料や、早めに消費したい乾物はすべてそのカゴに集約します。献立を考えるときは、まずそのカゴの中身を見て「今日はこれを使おう」と決めるルールにするのです。
ほんの少し「食べる順番」を意識できる場所を作るだけで、せっかく仕分けた食品が再び奥へ追いやられるのを防ぎ、隠れ食品ロスを確実に減らしていけます。


梅雨前こそ、ストック整理のベストタイミング

箱に整理された防災備蓄食品

湿気と暑さで傷みやすくなる季節

季節の変わり目の中でも、特に食品の見直しにおすすめなのが「梅雨前」です。
これから迎える梅雨や本格的な夏は、日本の家庭のキッチンにとって一年で最も過酷な環境になります。気温の上昇だけでなく、ジメジメとした高い湿気が室内にこもるため、食品の品質が急激に変わりやすくなり、しまい込んでいたストックの傷みが一気に進むこともあります。

特に気をつけたいのが、すでに開封している乾物や、お好み焼き粉などの粉類食べかけのお菓子や調味料です。
これらはクリップ等で留めて常温の棚にしまい込んでおくだけだと、隙間から入る湿気でカビが発生したり、ダニが繁殖したりする原因になります。まだ大丈夫だろうと油断していると、いざ使おうとしたときに傷んでいて、泣く泣く捨てることになりかねません。

また、使いかけの調味料も、長期間そのままにしていると香りや味が落ちてしまうことがあります。「まだ食べられるけれど、美味しくない」という状態になると、結果的に食べ切れず処分につながることも少なくありません。

だからこそ、品質が一気に落ちやすくなる梅雨本番を迎える前に、一度ストックをすっきり整理しておきましょう。


防災備蓄の見直しにもつながる

食品の棚卸しは、普段の食品ロス対策だけでなく、ご家庭の防災備蓄をアップデートする絶好のチャンスでもあります。
災害に備えて缶詰やレトルト食品、アルファ化米などをストックしていても、棚の奥に入れっぱなしではいざという時に期限が切れていて使えない、という事態になりかねません。

そこでおすすめなのが、「ローリングストック」という考え方です。普段から食べ慣れているレトルト食品や缶詰、水などを少し多めに備蓄し、古いものから日常的に食べて、その分を買い足していく方法です。
特別な備蓄用食品を長期間眠らせるよりも、日常の中で循環させることで、期限切れを防ぎやすくなります。また、「非常時に本当に食べやすいか」を普段から確認できるというメリットもあります。

無理なく続けられる形で、“備える”と“食べきる”を両立していきたいですね。


しまい込みを防ぐポイント

内容が明記された瓶に入っている食品が並んでいる

食品のしまい込みは、「つい奥に入れてしまう」「どこに何があるかわからなくなる」といった、小さな習慣の積み重ねで起こります。だからこそ、少し収納のコツを取り入れるだけでも、食品ロスは防ぎやすくなります。


“見える化”収納にする

食品のしまい込みを防ぐには、「見える状態」を作ることがとても大切です。人は、見えているものから使う一方で、見えないものは存在を忘れやすくなります。
例えば、奥行きの深い収納に食品を重ねすぎると、手前のものしか使わなくなり、奥の食品が眠ってしまいがちです。

そこでおすすめなのが、100円ショップなどでも手に入る透明なプラスチックケースを使った収納です。
ジャンルごとにケースにまとめ、引き出しのように引っ張り出せるようにすれば、奥行きを無駄にせず奥のものまで一目瞭然になります。また、レトルトやお菓子の袋は寝かせて重ねず、「立てて並べる」ことで上からの視認性が劇的にアップします。

また、毎日使う調味料や食品は“1軍”、使用頻度が低いものは“2軍”として収納場所を明確に分けることで、必要なものを把握しやすくなります。

収納は、おしゃれに整えることよりも、「使いやすいこと」が大切です。パッと見て「何があるかわかる」状態を作るだけで、食品の循環はぐっと良くなります。


ストックは“定数管理”

「お買い得だから」と、ついついストックを買いすぎてしまうことはありませんか? スペースに余裕があると、私たちは無意識にそこを埋めようとしてしまいます。

これを防ぐには、あらかじめ持つ量を決める「定数管理」のルールが効果的です。
例えば、「カレールウは2箱まで」「ツナ缶は5個まで」というように、家庭ごとの適量を決めておくだけでも、スーパーでの買いすぎや無駄な出費を自然と防止できるようになります。収納スペースに直接マスキングテープなどで「ここには〇個まで」と書いておくのも良い方法です。

特に特売の日は、「安いから今のうちに」と買い込みやすいですが、使い切れなければ結果的に食品ロスにつながってしまいます。定数を決めておくと、「減ったら補充する」という流れが自然にできるため、収納も管理しやすくなります。

食品をため込むことではなく、“循環させること”を意識すると、キッチンも気持ちもすっきりしていきます。


食品棚の衣替えを習慣にしよう

カレンダーに止められた「梅雨入り前の食品チェック」と書かれたメモ

完璧じゃなくていい

「食品のしまい込みを無くそう」と考えると、何だかとても大変なことのように思えるかもしれません。しかし、プロのような完璧な収納を目指す必要はまったくありません

一番大切なのは、買い出しに行く前に「いま、家に何があるか?」をちゃんと頭に思い出すことです。
買い物に行く前に一度棚を見るだけでも、「まだあったから今日は買わなくていいかも」と気づけることがあります。

そのためにも、たまに棚の中を見つめて「今週はあるものを食べる週間にしよう」と、ゆるく楽しむくらいが長続きのコツ
また、自分一人で抱え込まず、買ってきたストックを家族で共有することも大切です。ストックの場所を共有したり、「これ期限近いよ」と声を掛け合ったりするだけでも、食品はぐっと循環しやすくなります。

小さな行動の積み重ねが、無理のない食品ロス削減につながっていきます。


季節ごとの“食品棚の衣替え”

一度きれいに片付けても、時間が経てばまた少しずつモノは増えていくものです。だからこそ、仕組みとして「季節ごとの食品棚の衣替え」を習慣化してしまいましょう。

例えば、賞味期限が近いものを手前に移動したり、「今月中に使い切りたい食品」をまとめたりするだけでも、食品は自然と循環しやすくなります。週に一度、“使い切りデー”を作って、家にある食品を中心に献立を考えるのもおすすめです。
また、家族で一緒に棚を確認する時間を作ると、「これまだあるよ」「次はこれを食べよう」と共有しやすくなります。食品の場所や在庫を把握している人が増えるだけでも、買いすぎや使い忘れは減っていきます。

キッチンやパントリーは、毎日使う場所だからこそ、小さな見直しが暮らしに大きく影響します。食品にも“衣替え”の感覚を取り入れて、無理なく続けられる整理習慣を作っていきたいですね。



衣服の衣替えと同じように、キッチンの棚を見直す「食品の衣替え」。これは一見、家庭内の小さな片付けに思えるかもしれませんが、実は家計にも地球環境にも大きなメリットをもたらす素敵なアクションです。

食品のしまい込みを防いで家計内の在庫をちゃんと使い切るようになると、スーパーでの無駄遣いが減り、食費は自然と下がっていきます。裏を返せば、食品を期限切れで捨てるということは、大切なお金をそのままゴミ箱に捨てているのと同じこと。
食品ロスを減らすことは、誰でも今すぐ始められて、家計にも環境にもやさしい、身近なSDGsアクションなのです

季節の変わり目は、そんな食品棚を見直す絶好のチャンス
完璧に管理しようとしなくても、「まずは棚を見てみる」「期限が近いものから使う」だけでも十分です。買ってきたものを最後まで食べきるという小さな習慣が、巡り巡って地球の未来を守る大きな一歩へとつながっていきます。




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この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。