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早すぎるインフル流行! 変わる季節とこれからの家庭の備え

公開日: 更新日:2026.09.13
日が差し込むリビングテーブルの上に並ぶ備蓄食と衛生用品

まだまだ暑さが残り、「秋はもう少し先」と感じるこの時期。そんな中、気になるのが「インフルエンザの流行」です。
インフルエンザといえば、寒く乾燥する冬に流行するイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし近年は、従来の季節感だけでは捉えにくい時期にも感染がみられるようになっています。
もちろん、インフルエンザの流行は気温だけで決まるものではありません。気温や湿度はもちろん、夏休み中の人の動き、学校の再開、エアコンによる密閉空間での滞在時間、さらには一人ひとりの免疫状態など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。

さらに、近年の猛暑や長引く残暑など、私たちが感じる「季節の当たり前」も変化しています。
感染症や災害が「いつもの季節」に起こるとは限らない今、家庭の備えも季節だけを目安にするのではなく、私たちの視点も、新しく見直していく時期に来ているのかもしれません。


なぜ?「早すぎるインフル流行」

暑い中通りを歩く人々。マスクをしている人もいる

「冬の感染症」とは限らない?

インフルエンザといえば、「寒くなってから流行するもの」というイメージがありますよね。日本では例年、秋から冬にかけて患者が増え、冬に流行のピークを迎えることが多い感染症です。

ところが2026年は、まだ厳しい暑さが続く8月からインフルエンザの動きが注目されています。
厚生労働省が2026年8月28日に発表したデータによると、8月17日〜23日の1週間(第34週)における全国の定点当たり患者報告数は「1.11人」となり、流行開始の目安である「1.0人」を超えて全国的な流行期に入りました。昨年の流行開始(9月下旬)と比べても1か月以上早いスタートとなっており、感染症法が施行された1999年以降では、2009年に次いで2番目に早いものとなりました。
国立健康危機管理研究機構などの動向調査でも、夏場から患者数がじわじわと増え続けていたことが示されています。「インフルエンザは冬になってから」というこれまでの思い込みを捨て、季節の早い段階から意識を向ける必要があります。

ただし、ここで気をつけたいのが「夏にインフルエンザが発生すること自体が異例」というわけではないことです。インフルエンザは冬だけにみられる感染症ではなく、夏場にも患者が確認されることがあり、流行の始まりやピークも毎年同じとは限りません。
インフルエンザは冬だから、まだ大丈夫」と季節だけで判断せず、最新の感染状況を確認しながら備えることが大切になっています。


流行時期を左右するもの

では、なぜインフルエンザは「冬の感染症」というイメージとは異なる時期にも広がるのでしょうか。

インフルエンザの流行は、気温や湿度といった気象条件だけで決まるわけではありません。人と人との接触機会や移動、学校や職場などでの集団生活、私たちが持つ免疫の状態など、さまざまな要因が関係しています
また、海外からの渡航者増加や、前シーズンからの免疫の低下具合なども影響するため、「暑い時期だからインフルエンザは流行しない」とは言い切れません。厚生労働省も、日本では例年12~3月が流行シーズンとする一方、近年は従来とは異なるタイミングで流行が始まるケースがあるとしています。

また、インフルエンザには複数の型があり、大きな流行を起こすのは主にA型とB型です
2025/26シーズンの日本では、流行前半にはA/H3亜型が多く検出され、その後はB型の割合も増加しました。
ただし、どの型がいつ広がるかは年によって異なります。一度流行が落ち着いたように見えても、別の型や亜型が増えることもあるため、長い目で感染状況を見ていくことが大切です。


感染症対策と予防

流行時期が読みづらくなっても、まず大切なのは基本的な感染対策です。
日頃の手洗い・うがい、咳エチケット、必要な場面でのマスク着用、室内のこまめな換気、気温に合わせて服装や室温を調整し、十分な休養とバランスのとれた食事を心がけ、日頃から体調を整えておくことも大切です。

予防方法のひとつが、インフルエンザワクチンです。厚生労働省によると、ワクチンには感染を完全に防ぐ効果はありませんが、発病や重症化を予防する効果があるとされています。
インフルエンザワクチンは、接種後すぐに効果が得られるものではありません。接種を希望する場合は、その年の流行状況や年齢、体調なども踏まえ、接種時期について医療機関に相談しましょう。

急な発熱や強いだるさなど、気になる症状が現れたときは無理をせず、必要に応じて早めに医療機関へ相談することも大切です。「まだ流行する季節ではないから」と思い込まず、その時々の感染状況に目を向けておきたいですね。


季節の常識が変わっている

夏空に少し色づき始めた街路樹

暑さが長引く日本

「9月になっても真夏のように暑い」「秋らしい時期が短くなった」と感じることが増えていませんか。実際、日本の気温は長期的に上昇しています

気象庁の統計データによると、日本の年平均気温は長期的に100年あたり1.44℃の割合で上昇しており、特に1990年代以降は高温となる年が頻発しています。猛暑日や熱帯夜が増加するなど、これまで私たちが慣れ親しんできた季節感とは異なる気候を実感する機会も増えています。

こうした変化は、単に「夏が暑くなった」というだけの問題ではありません。大雨などの極端な気象現象にも目を向けながら、季節に合わせて暮らすという従来の感覚そのものを、少しずつ見直していく必要がありそうです


温暖化と感染症の関係

地球温暖化というと、北極の氷が解ける様子や海面上昇など、どこか遠い場所の問題を思い浮かべるかもしれません。しかし気候の変化は、私たちの健康とも無関係ではありません

環境省は、気候変動による気温の上昇などによって、蚊やダニなどが媒介する感染症について、媒介生物の分布可能域が変化することなどを健康への影響として挙げています。つまり、気候が変われば、感染症を取り巻く環境にも変化が起こる可能性があるのです。

ただし、今回取り上げているインフルエンザの早い時期の流行を、「地球温暖化が原因」と直接結びつけることはできません。インフルエンザの流行には、気温や湿度だけでなく、人の移動や接触、免疫の状態など、さまざまな要因が関係しているからです。

一方で、気候変動による暑さの長期化や極端な気象は、熱中症をはじめ、私たちの健康や暮らしにさまざまな影響を及ぼします。感染症についても、蚊やダニが媒介する感染症では気候変動との関係が指摘されています。インフルエンザの流行との関係は単純ではありませんが、気候や季節の変化に合わせて、健康管理や備え方を見直していくことは大切です。


「季節になったら備える」を見直す

家族で棚のストックを確認している

早めの備えを日常に

これまでは「冬が近づいたらマスクや体温計を準備し、感染症対策を」「台風の季節になったら防災用品を確認しよう」といったように、季節に合わせた備えが一般的でした。
しかし、厳しい残暑が続いたり、感染症が思いがけない時期に広がったりする今、「その季節が来てから備える」従来のパターンだけに頼るのは、少し危険かもしれません。急な発熱や体調不良に見舞われると、薬局へ買い物に行くことすら難しくなります。

そこで取り入れたいのが、備えを特別なことにせず、日常の習慣にすることです。

マスク、体温計、消毒液、常用薬などの衛生用品は、「特定の季節に買うもの」から「1年を通して常備しておくもの」へと意識を変えていきましょう。「○月になったら準備する」というルールではなく、「毎月1日にストックを点検する」など、家庭ごとに定期的な確認日を決めておくのがおすすめです。
日常の中に点検習慣を取り入れることで、急な事態にも慌てず対応できるようになります

また、必要なものを一度に大量に買い込むのではなく、普段の暮らしの中で少しずつ備える。季節の変化が読みづらくなった今だからこそ、そんな備え方を習慣にしてみませんか。


食べ物も備えておこう

家庭の備えとして、忘れずに確認しておきたいのが食べ物です。食品の備蓄は災害時だけのものではありません。インフルエンザなどで体調を崩し、数日間買い物に行けなくなったときにも役立ちます。

農林水産省では、災害に備えて最低3日分、できれば1週間分程度の食品を家庭で備蓄することを推奨しています。水やお米などの主食に加え、レトルト食品、缶詰、スープなど、普段から食べ慣れているものを中心にそろえておくと、非常時にも無理なく活用できます。

そこで大切なのは、非常食として特別なものだけを押し入れにしまい込まないことです。
おすすめは、賞味期限が近いものから順に日常の食事で使い、減った分だけ買い足す「ローリングストック」です。この方法なら、いざというときに食べ慣れた味で安心できるだけでなく、うっかり賞味期限を切らして食べ物を無駄にしてしまう食品ロスも防ぐことができます。

「もしものための食べ物」と「いつもの食べ物」を分けすぎないこと。それが、無理なく続けられて、いざというときにも役立つ備えにつながります。


これからの家庭に必要な「2つの備え」

ローリングストックの缶詰を使って料理している女性

身を守る「日常の備え(健康管理)」

いざというときのために物をそろえるだけが「備え」ではありません。毎日の生活の中で体調を整えておくことも、自分や家族を守る大切な備えのひとつです

基本となるのは、十分な睡眠や休養、適度な運動、そしてバランスのよい食事

十分な睡眠時間を確保することに加え、朝晩と日中の寒暖差に対応できるよう羽織り物で着脱しやすくするなど、身体への負担を減らす工夫も必要です。また暑い日と涼しい日の差が大きい時期には、気温に合わせて服装や室温を調整することも大切です。
また、特定の食品を食べれば感染症を防げるというものではないため、主食・主菜・副菜を組み合わせ、さまざまな食品から必要な栄養をとることを意識しましょう。野菜の食べられる部分をできるだけ無駄なく活用し、スープなどに取り入れるのもひとつの方法です。

毎日の「食べること」を通じて、日々の健康を維持しながら、家にある食材も大切に使い切る。毎日の小さな習慣を積み重ねることが、健康と食品ロス削減の両方につながっていきます。


環境負荷を減らす「未来への備え(エコな選択)」

感染症から身を守る「現在の備え」と同時に、地球環境の負荷を減らす「未来への備え」を意識することも重要です。

気候変動はあまりに大きな問題で、「家庭でできることなんてあるの?」と思うかもしれません。でも、毎日の食事や買い物にも、できることがあります。

そのひとつが食品ロスを減らすことです。日本では2024年度に約461万トンの食品ロスが発生し、そのうち約224万トンが家庭から出ています。食べ物を生産し、加工し、私たちのもとまで運ぶには、エネルギーやさまざまな資源が使われています。食べずに捨ててしまえば、それらも無駄になってしまいます。
必要な分だけ買う、冷蔵庫にあるものから使う、食べ切れる量を作る。野菜も食べられる部分はできるだけ活用する。こうした身近な行動は、食品の生産や加工、輸送、廃棄までに使われる資源やエネルギーの無駄を減らし、環境への負荷を抑えることにつながります。

「環境のため」と頑張りすぎる必要はありません。食材を無駄なく使えば、家計の節約にもつながります。自分たちにできる小さな選択を無理なく続けることが、未来に向けた備えの第一歩です



「インフルエンザは冬に流行する」「災害への備えはその季節が来てから」。そんなこれまでの感覚だけでは、暮らしの安心を守りきれない時代になってきました。
だからといって、いつ起こるかわからない感染症や異常気象に、不安を感じ続ける必要はありません。大切なのは、特別なものを大量に買い込むのではなく、普段の暮らしの中に「備え」を取り入れておくことです。

体調を整える、必要な日用品を確認する、普段食べる食品を少し多めにストックする。そして、食べたら買い足し、家にあるものをきちんと食べ切る。そんな日々の行動が、もしものときの安心につながり、食品ロスを減らすことにもつながります。

変わりゆく季節に合わせて、私たちの備え方も少しずつアップデートしていきたいですね。まずは今日、冷蔵庫や食品ストックをのぞいてみることから。体にも地球にもやさしい「備える暮らし」を始めてみませんか。




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この記事を書いた人

中川

環境開発学を専攻し、大学時代に訪れた北欧でエコライフに目覚めました。帰国後、国内外のエコプロジェクトに参加し、サステナブルな食文化や食品ロス削減のヒントを発信しています♪

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。