今回はSDGsと「食」をテーマに発信したいと思います。
私たちが普段何気なく食べているものにはSDGsに深く関わる、様々な社会問題や環境問題が潜んでいます。
本記事がこれからの食生活について考えるヒントになれば幸いです。
肉食がもたらす社会課題
毎日の食卓に並ぶたくさんのメニュー。
私は好き嫌いをせず、バランスよく残さず食べることを心がけていますが、実は、私たちが牛肉や豚肉を食べることは、3つの社会課題と大きく関係してきます。
その社会課題とは。。。
地球温暖化(SDGs13.気候変動に具体的な対策を)
世界全体で発生している温室効果ガスのうち、18%が畜産業関連から排出されていると言われています。
私達が食用としている牛。
実は、牛が食べた飼料を消化する際にメタンが生成されます。
メタンの温室効果は二酸化炭素(CO2)の25倍あるとされており、温暖化に大きく影響があるといわれています。
これらが家畜の排せつ物とともに空気中に放出されます。
(参考:地球温暖化防止活動推進センター 温室効果ガスの特徴/メタンの温室効果)
(参考:共同通信社 牛から出る温室効果ガスのデータ)
森林伐採(SDGs15.陸の豊かさも守ろう)
世界では森林伐採が日々行われています。
なぜ、森林伐採が行われているのか。
理由の一つは、増え続ける食肉の需要に対応するために、広大な飼育施設 と 家畜の飼料用農場が必要となります。
その土地の確保のために、森林伐採が行われています。
実際にアマゾンでは、1988年に観測が始まって以降、森林面積を15%失ったといわれています。
その面積は、日本の国土の1.1倍に相当する42万㎢にも登ります。
(参考:アマゾンの破壊の現状|特定非営利活動法人 熱帯森林保護団体(RFJ) 森林伐採のデータ)
飢餓(SDGs 2.飢餓をゼロに)
世界では11人に1人が飢餓で苦しんでいる中、世界中で生産されている穀物のうち、実は半分ほどは直接人々のお腹を満たす食用として消費されていません。
世界で生産される穀物のうち、
43%が食用
38%が飼料用
21%がその他バイオ燃料や添加物として消費されています。
今後さらに牛や豚の需要が加速すると、合わせて餌となる穀物の価格も高騰し、貧困地域の人々にますます行き渡らなくなり、飢餓が拡大してしまうことが予想できます。
私たちの食生活を考えてみる
牛肉や豚肉の生産・消費が引き起こしている社会課題を背景に、ライフスタイルを改めようと試みる動きが高まってきています。
そのライフスタイルの一つ「ヴィーガン」について触れていきましょう。
ヴィーガンとは
ヴィーガンについて皆さんご存知でしょうか?
ヴィーガンとは、肉、魚、卵、乳製品のような
動物からとられる食べ物を避けたライフスタイルの人のことをいいます。
(ロスゼロブログ:ベジタリアンとヴィーガン 〜違いとメリットとは〜)
ヴィーガン人口は世界的に急速に増加しており、イギリスでは、2014年から2018年では、約4倍に増えています。
(参考:The Vegan Society What is viganism)
日本でもベジタリアンもしくはヴィーガンに取り組んでいる人たちは徐々に増えています。
2017年に全体の4.5%だった割合が、2019年では5.7%に増加したと報告されていました。(1.2ポイント増)
また、週に1回以上、意識的に動物性食品を減らしている人は2017年に全体の15.8%→2019年では19.8%と報告されていました。(4ポイント増)
(参照: Vegewel 日本のベジタリアン・ヴィーガン・フレキシタリアン人口調査)
フレキシタリアンとは
毎日ヴィーガンを実践していなくても、週に数回は動物性食品を避けた食生活をしている人のことを 「フレキシタリアン」 といいます。
いきなりヴィーガンを目指すのはハードルが高いですが、週に1食、植物性のみの食事に取り組むだけでも大きな一歩だと思います。
手軽に楽しめるヴィーガンのメニュー
ココイチのベジタリアンカレー
CoCo壱番屋では、動物由来の原材料を一切使っていないメニューとして『ココイチベジカレー』があります。
クックパッド
クックパッドでもビーガン向けの料理として、100点以上ものレシピが掲載されています。
カレーやラーメン、カルボナーラなどどれもとても美味しそうです!
試しに作ってみてはいかがでしょうか!
食生活とSDGs
私たちの食生活から動物性食品を減らしてみることで、工場式畜産の増加を食い止めることに繋がり、大きな社会課題である
この3つのSDGsに間接的に貢献することができます。
しかし、”Leave no one behind”SDGsは ”誰も取り残さない” ことも掲げています。
ただお肉を食べることは良くないから、食べない!となると、畜産業従事者の生業をなくす事になりそもそもSDGsの理念から外れてしまいます。
畜産業を全否定し畜産業自体をなくすのではなく環境や貧困国への負荷が多い現状の生産システムから負荷の少ない畜産業への 転換を促すこと が必要です。
SDGsに向けた畜産業の新たな動き
一般社団法人新エネルギー財団では、家畜糞尿を利用したバイオガス発電プラントの導入を畜産農家向けに勧めています。
牛から排出されるメタンをエネルギー利用することで、メタン放出による温暖化の問題を解決することができます。
田中飼料株式会社では、産業廃棄物(汚泥、廃油、動植物性残渣)を回収し最終処分するのではなく、家畜用飼料としてリサイクルをする取り組みをされています。
飼料を生産するために新たに森を切り開くのではなく、廃棄になってしまうものをリサイクルすることで、フードロスの削減に寄与することもできます。
現在はまだあまり市場で見ることはできませんが、さらなる技術が進み、環境負荷の少ない生産体制によって作られた肉製品を選び食することができるようになれば、生産体制の転換を促す事に繋がります。
(日経新聞:サステナブルな鶏・卵)
(沖縄県北谷市にあるアイエンコーヒー&ホステルのヴィーガンカレー)
まとめ
私たちが何気なく食べている食事には、様々な社会問題、環境問題が関わっていることがわかりました。
まずはこれらを知ることが大きな一歩です。
畜産業を一概に否定し、無くすのではなく、環境負荷の少ない新たな技術の導入や転換を進めて作られた肉を選ぶこと。
また一方で、手軽に食べることができるお店なども増えだんだんと身近な存在になってきたヴィーガンという食の形。
毎日でなくても、週に一回から気軽にヴィーガン料理を楽しんでみることで、間接的に新たな畜産業への転換を促し、そしてSDGsに貢献できることがわかっていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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