こんにちは!学生ライターの橋本です!
今回は、私がデンマークに滞在していた期間にボランティア活動を行っていた食品ロス専門スーパー 「Wefood」についてどんな場所なのか、現地で見たことや聞いたことを加えつつ紹介したいと思います!
Wefoodってどんなところ?
Wefoodは、デンマーク発祥の世界で初めて設立された「食品ロス専門スーパー」のこと。
2016年にDan Church Aidという慈善団体が1店舗目を設立し、現在はデンマーク内に3店舗を展開しています。
Wefoodでは、廃棄予定の食品をスーパーマーケットやオンラインスーパーが所有する食品保管倉庫、食品メーカー等から収集し、市場価格の30%〜50%引きで販売することで食品ロス削減を実現しています。
(参考:Wefood,デンマーク初の余剰食品スーパーマーケット)
Wefoodの特徴については、以前のロスゼロブログにも紹介があるのでぜひ読んでみてください!
(参考:ロスゼロ,食品ロス削減に向けた世界の取り組みデンマーク)
どんな商品が販売してあるの?
Wefoodでは、主に
・賞味期限の過ぎてしまった飲料、お菓子、缶詰、調味料、冷凍商品
・消費期限の迫った生鮮食品(魚や肉)
・パッケージの破損など見た目の欠陥によって販売することができなくなった商品
・発注過程で発生した余剰、又は傷んだ野菜や果物
・販売期限を過ぎたパンなどを販売しています。
(参考:Wefood,デンマーク初の余剰食品スーパーマーケット)
また、クリスマスシーズンなど季節に伴うイベントの後には特別にデザインされた商品などが季節外れのものとして廃棄商品となってしまうため、イベントが終わると大量のお菓子やおもちゃが入荷してきます。
食べ物だけでなく、物も大切にする取り組みがとても素敵だと感じました!
↑クリスマスシーズンを終え、Wefoodに運ばれてきたお菓子たち:著者撮影
消費期限が超過した肉や魚は法律により販売することができませんが、賞味期限の超過したものについては法律が定めらている訳ではないため、長いものでは賞味期限が2年以上過ぎているものも販売されていました。
パンは種類によって価格が異なり、店舗に届いた日から3日を過ぎて売れ残っているものは無料で配布を行っています。
また、果物や野菜についてはオーガニック食材かどうか、傷み具合、収集量によってベースの価格表をもとに毎度価格設定をしています。
↑スーパーから運ばれてきた廃棄予定のパン:著者撮影
どのような人が利用しているの?
Wefoodの特徴の一つとして挙げられるのが誰もが利用できるということです。
例えば、フードバンクなどではその供給先を低所得者層やこども食堂など一部の人に限られていますが、Wefoodでは様々な目的を持つ人が自由に活用することができます。
Wefoodに来る人の理由としては、
・食品ロス削減に貢献したい
・低価格で商品を購入したい
・貧困国の人々への支援を行いたい
など様々なものがありますが、私が現地で調査した中では、商品を低価格で購入したいという意見が多く、消費者にとってはお財布に優しいスーパーとしてWefoodにとっては食品ロス削減とその売り上げ寄付による貧困国支援とwin-win-winの関係性が生まれているなと感じました。
どのように品質管理を行っているの?
長いもので賞味期限を2年以上超過している商品が売っていると述べましたが、その品質管理は試食会によって決めてられています!
↑試食会の様子:著者撮影
週に一度、その日にいるボランティアスタッフが集まり、それぞれの商品について匂い・色・味に異常や気になる点はないかを特定の用紙に記入をすることで販売管理を行なっています。
↑試食会で食べたラタトゥイユ:著者撮影
まさに、「賞味期限=美味しく食べられる期限」を実行していた取り組みだと感じました!
野菜や果物は主に見た目と匂い、仮に匂いに問題がある場合は試食を行い販売するかを判断しています。
また生鮮食品である肉や魚は消費期限であるため期限を基準にし、消費期限が切れ販売できなくなった商品においてはボランティアスタッフ用の冷凍庫に保存がされており、自由に持ち帰ることが可能です。
一見雑な管理方法にも見えますが、2016年からこれまで健康被害などはないとスタッフの方から聞きました!
廃棄は出ないの?
食品ロス専門スーパーと聞くと、食品ロスを救う夢の空間のように感じますが明るい現実だけではありません。
Wefoodでも時に廃棄は発生しています。
↑実際にWefoodでみた廃棄:著者撮影
特にWefoodで多い廃棄が野菜や果物と行った青果商品です。
というのもWefoodに運ばれてくる野菜や果物は既に傷みが進行しているものや一部が腐敗しているものが多いことからWefoodに届く時点で食べることのできない状態になっていることも少なくはありません。
その際は、全て段ボールや袋から取り出して小分けにし腐敗したものは廃棄、きれいなものだけを選別して販売します。
通常スーパーなどでは袋の中身の一部が腐敗している場合、袋ごと廃棄してしまうことが多いことため、Wefoodが食品を救う最後の砦としての役割を担っているということができます。
↑仕分け後のきゅうりとトマト、写真左の袋に入っているものが廃棄されるもの。:著者撮影
まとめ
Wefoodは食品ロスを救う新たな手段としてデンマークで生まれ、今では類似した取り組みが他のヨーロッパ諸国や小規模であれば日本でも行われるようになっています。
Wefoodが誕生したことで多くの食品が救われたことはもちろんですが、”誰もが利用できる場”としたことにより食品ロスのついて気軽に触れる環境が生まれ、食品ロスへの認知度や理解度の向上にも繋がったのではないかなと私は考えました。
一方で、Wefoodは食品ロスを救う最終手段ではあるもののその現場の裏でさえ、未だに多くの食品ロスが発生していることから、そもそも食品ロスが発生しないような食品製造の仕組みが今後も必要であるように感じました。
手軽なお菓子や飲料も多く販売しているので、デンマークに行った際にはぜひ利用してみてください!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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