近年、健康志向の高まりとともに注目を集めているグルテンフリー。
そんな中、今こそ注目したい食材が【おから】です。大豆を絞った後の副産物であるおからは、実は栄養価満点で、未来を変える可能性を秘めた食材なのです。
廃棄されがちなこの豆腐製造の副産物が、どのようにして健康、経済、そして地球環境に優しい選択肢となるのか。
おからの基本的な知識から、その驚くべき栄養価、さらには家庭で簡単に試せる創作レシピまで、おからを通じて持続可能な未来を考えてみましょう。
おからとは
おからの基礎知識
おからは、豆腐や豆乳を作る際に出る副産物です。その色は、初夏に花を咲かせるウツギの花に似ていることから「卯の花」とも呼ばれています。
大豆を水に浸し、すりつぶして煮た後、布でこした時にできる布に残ったものがおからです。
こしたものが豆乳です。
豆乳に凝固剤を混ぜて固めたものが豆腐です。
【100gの大豆からできる量】
おから: 約120~150g
豆乳: 約500~600ml
豆腐: 約300~400g
※大豆の種類、水加減、調理方法によって多少前後します。
おからの種類
【生おから】
こしたばかりのおからは、水分が多く、柔らかい固形物です。
水気をしっかり切り、密閉容器に入れて、冷蔵庫で保存してください。長期保存する場合は冷凍してください。
保存期限は冷蔵で2~3日、冷凍で1ヶ月程度です。
調理前に水気を切ったり、炒ったりして水分を調整する必要があります。
生おからはハンバーグやコロッケのつなぎ、パンやケーキの材料として使用することができます。また、スープやシチューに加えてとろみを出すのにも使われます。
【乾燥おから】
生おからを乾燥させたものです。水分が少なく、サラサラしています。
密閉容器に入れ、直射日光、高温多湿を避け、冷暗所で常温で保存できます。
保存期限は6か月~1年です。
そのまま料理に使うことができ、扱いやすいです。
パンやクッキーの材料、グラノーラの一部として使用できます。水または他の液体に戻して、生おからと同様に料理に活用することもできます。
【おからパウダー】
乾燥おからをさらに細かく粉状にしたものです。水分が非常に少なく、サラサラしています。
密閉容器に入れ、直射日光、高温多湿を避け、冷暗所で常温で保存できます。
保存期限は1~2年です。
そのまま料理に使うことができ、扱いやすく、保存性も高いです。
スムージーの材料、ベーキング材料、スープやソースのとろみ付けとして使えます。そのまま水に溶かしてドリンクとしても楽しめます。
おからの栄養価と健康効果
おからは、大豆の栄養素を凝縮したような食材です。
中でも特筆すべきなのが、食物繊維の豊富さです。おから100gあたり約14~15グラムにも上ります。
おからの食物繊維は、水溶性と不溶性の両方がバランス良く含まれています。水溶性食物繊維は、腸内環境を整え、便秘解消やコレステロール値の低下に効果が期待できます。一方、不溶性食物繊維は、腸内を刺激し、満腹感を得やすくするため、ダイエットにも効果的です。
また、おからは、たんぱく質、カルシウム、鉄分、ビタミンB群など、健康維持に必要な栄養素も豊富に含んでいます。
100グラムあたりのカロリーは約80キロカロリーと、ご飯の約1/3です。おからは低カロリーながら栄養価が高いため、カロリー摂取を抑えたい方にも適した食材です。
その低カロリーかつ高タンパク質の特性から、ダイエットにも最適であり、少量で満腹感を得やすく、血糖値の急上昇を抑える効果もあるため、無理なくカロリー制限を行いたい方に推奨されます。
特に、大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするため、更年期障害の予防や骨粗鬆症の改善、美肌効果も期待できます。また、抗酸化作用により肌の老化防止にも役立つため、日常の食事に取り入れることで内側からの美容ケアが可能です。
おからの現状
廃棄されるおから
日本国内では、年間約53億丁もの豆腐が生産されています。その過程で発生するおから量は、約70万トンにも及びます。このうち、食用にされるのはわずか1~2%程度に留まり、残りの約98%は、飼料や肥料、廃棄物として処理されています。
【なぜ利用されないの?】
保存性の問題:おからは非常に水分を多く含むため、保存が困難で腐敗しやすい性質を持っています。これが飼料や食品としての流通や長期保管を難しくしています。
輸送コスト:水分を多く含むため、重くて輸送コストが高くなります。また、腐敗しやすい性質もあって、遠方への輸送が経済的に見合わない場合が多いです。
認知と需要の問題:おからを有効活用する方法やその利点についての認知がまだ十分でないことも、利用が進まない一因です。飼料としての利用に関しても、その栄養価や効果を理解し、積極的に取り入れる生産者がまだ限られています。
規制と基準:食品や飼料として利用する場合、安全性の確保が必要です。これには厳格な規制や検査が伴い、それらをクリアするためのコストや手間がかかります。
【廃棄されるおからの課題】
栄養資源の浪費:おからは、食物繊維、たんぱく質、カルシウム、鉄分など、健康維持に必要な栄養素が豊富に含まれています。しかし、廃棄されることで、これらの貴重な栄養資源が失われてしまいます。
環境負荷:おからの廃棄は、環境負荷の増加にもつながります。廃棄されたおからは、焼却処分される場合が多く、その際に二酸化炭素などの温室効果ガスが発生します。
食料自給率の低下:おからを有効活用することで、大豆の輸入量を減らすことができ、食料自給率の向上にもつながります。
市場動向と社会的価値
近年、持続可能な食品資源としてのおからへの関心が高まっており、その市場規模は拡大傾向にあります。2022年の国内のおから市場規模は約100億円と推定されており、今後も増加していくと見込まれています。
特におからパウダーは、その使いやすさから多くの家庭で利用されています。市場調査によると、おからパウダーの市場は2020年には前年比で約150%の成長を遂げています。
また、おからを活用した新商品の開発が進んでいることも、おから市場の活性化に寄与しています。
おからは、廃棄物としてではなく、貴重な食材として活用することで、食の無駄を減らし、環境負荷を低減することができます。また、おからを積極的に摂取することで、健康的な食生活を送ることができます。
おからは、体にも地球にも優しい食材と言えるでしょう。
未来の食卓を支える、おからの可能性
フードロス削減と環境負荷低減
おからの再利用はフードロス削減と環境負荷の低減に大きく寄与します。おからを飼料や肥料、原料として利用する事例が増えており、これによって廃棄物の量を減らし、資源を有効活用する努力が行われています。
おからを使った食品の開発:おからを使ったハンバーグ、クッキー、パンなど、さまざまな食品が開発されています。
おからを使った化粧品の開発:おからに含まれるイソフラボンは、美肌効果があり活用が期待されています。
おからの飼料化:おからを牛や豚などの飼料として利用することができます。
おからの肥料化:おからを堆肥にして、農作物の栽培に利用することができます。
またおからを利用することで、環境に優しい商品開発が進んでいます。
例えば、おからを原料としたバイオプラスチックは、石油由来のプラスチックと比較してCO2排出を減少させることができます。さらに、おからを用いた紙製品も開発されており、天然素材の利用が進むことで環境への負担を減らしています。
これらの取り組みは、持続可能な社会の構築に貢献しており、エネルギー消費の削減や温室効果ガスの排出量削減にも繋がっています。
未来の食糧問題を解決するおからの潜在力
近年、地球温暖化や人口増加による食糧不足が深刻化しており、世界中で持続可能な食糧生産システムの構築が求められています。そんな中、おからは、栄養価が高く、環境負荷が少ない食材として、未来の食糧問題解決に貢献する可能性があります。
おからを生産する過程では、大量の水や肥料が必要ありません。また、おから自体が可食性であるため、廃棄物も発生しません。さらに、おからを飼料や肥料として利用することで、資源の循環型社会の実現にも貢献できます。
おからは加工しやすく、さまざまな料理に応用可能です。さらに、おからを主原料とした新商品も続々と開発されており、従来の食材に代わる新たな選択肢として、消費者の注目を集めています。この柔軟性が、食糧安全保障の向上とサステナブルな食生活の推進に貢献します。
低コストで栽培可能な大豆から得られるおからをさまざまな形で活用していくことは、持続可能な食糧生産システム構築に大きく貢献していくでしょう。
おからでバリエーション豊かな食卓を
おからを使った創作レシピ
おからは、さまざまな料理に活用できる食材です。少しの工夫で、いつもの料理をワンランクアップさせることができます。
☆おからハンバーグ☆
【材料】
生おから 100g
ひき肉 200g
玉ねぎ 1個
卵 1個
塩、こしょう、ナツメグ 少々
【作り方】
1.玉ねぎはみじん切りにして、炒めて冷まします。
2.ボウルに生おから、ひき肉、冷ました玉ねぎ、卵を入れてよく混ぜ、塩、こしょう、ナツメグで味を調えます。
3.タネを4等分にして、ハンバーグの形に成形します。
4.フライパンに油を熱し、ハンバーグを両面こんがりと焼きます。
5.ハンバーグに火が通ったら、お好みのソースをかけて完成です。
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☆おからパンケーキ☆
【材料】
生おから 50g
米粉 100g
卵 1個
牛乳 100ml
砂糖 大さじ1
ベーキングパウダー 小さじ1
塩 少々
【作り方】
1.ボウルに生おから、米粉、ベーキングパウダー、卵、牛乳、砂糖、塩を入れてよく混ぜます。
2.フライパンに油を熱し、生地をお玉一杯分流し入れます。
3.両面こんがりと焼いたら完成です。
【ポイント】
○米粉の代わりに、アーモンド粉やココナッツフラワー、つぶしたバナナを使っても美味しく作れます。
○ベーキングパウダーの代わりに、重曹とクエン酸を使うこともできます。
○甘みはお好みで調整してください。
おからを活用したスイーツ
おからを使ったスイーツは、健康と美味しさを兼ね備えています。特に、おからは砂糖の量を減らしながらも自然な甘さを引き出すのに役立ち、甘いものが好きだけどカロリーを抑えたい方にぴったりの選択肢です。
☆おからクッキー☆
【材料】
生おから 100g
アーモンドパウダー 50g
ココナッツオイル 40g
メープルシロップ またはハチミツ 40ml
【作り方】
1.ココナッツオイルを溶かします。
2.生おから、アーモンドパウダー、メープルシロップ、溶かしたココナッツオイルを混ぜます。
3.生地を型抜きし、180℃に予熱したオーブンで15分ほど焼きます。
4.焼き色がついたら完成です。
【ポイント】
○アーモンド粉の代わりに、ココナッツフラワーや米粉を使っても美味しく作れます。
○ココナッツオイルの代わりにバターを使っても美味しく作れます。
○甘みはお好みで調整してください。
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☆おからプリン☆
【材料】
生おから 50g
牛乳 200ml
卵 2個
砂糖 50g
バニラエッセンス 数滴
【作り方】
1.ボウルに生おから、牛乳、卵、砂糖を入れてよく混ぜます。
2.バニラエッセンスを加えてさらに混ぜます。
3.カラメルソースを作っておきます。
4.2をカラメルソースを入れた耐熱容器に濾しながら注ぎ、表面を平らにします。
5.180℃に予熱したオーブンで30分ほど蒸し焼きにします。
6.竹串を刺してみて、何もついてこなければ完成です。
【ポイント】
○牛乳の代わりに、豆乳やアーモンドミルクを使っても美味しく作れます。
○カラメルソースは、砂糖を水で溶かして弱火で加熱し、茶色になったら火を止めて作ります。
○甘みはお好みで調整してください。
家庭で楽しむおから料理
おからを使った家庭料理は、日々の食事をより健康的に変える手助けとなります。
☆おからコロッケ☆
【材料】
生おから 50g
じゃがいも 2個
玉ねぎ 1/2個
合いびき肉 100g
卵 1個
米粉 適量
塩 小さじ1/2
こしょう 少々
【作り方】
1.じゃがいもは茹でて皮をむき、マッシュします。
2.玉ねぎはみじん切りにして、合いびき肉と炒め、塩、こしょうで味を調えます。
3.ボウルに生おから、マッシュポテト、2を入れてよく混ぜます。
4.3を4等分にして、コロッケの形に成形します。
5.卵をといておき、成形したコロッケを先に卵にくぐらせ、次に米粉をまぶします。
6.中温(約180℃)の油でキツネ色になるまで揚げます。
【ポイント】
○ひき肉は鶏ひき肉や大豆ミートを使っても美味しく作れます。
○米粉の代わりにオートミールを使っても美味しく作れます。
○油で揚げる代わりに、フライパンで焼いても美味しいです。
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☆おからお好み焼き☆
【材料】
生おから 100g
キャベツ 1/4個(200gぐらい)
卵 1個
水 100ml
お好みの具材(豚肉、しーふどミックスなど)
だしの素 適量
お好み焼きソース、マヨネーズ 適量
青のり、かつお節、紅生姜など 適量
【作り方】
1.ボウルにおから、ダシの素、水を混ぜて生地を作ります。
2.キャベツと卵、お好みの具材を加えてさらに混ぜます。
3.ホットプレートまたはフライパンに油を少し熱し、生地を流し入れます。
4.中火でじっくりと焼き、一度裏返して両面を焼きます。
5.焼き上がりにソース、マヨネーズをかけ、青のりやかつお節、紅生姜でトッピングします。
【ポイント】
○おからを使うことで、ヘルシーでボリューム満点のお好み焼きになります。
○キャベツや具材の量はお好みで調整してください。
○チーズや天かすなどをトッピングしても美味しくいただけます。
おからは、他にもさまざまな料理に活用できます。
サラダ:生おからをドレッシングと和えて、サラダの具材として使うことができます。
スープ:生おからをスープに入れて、とろみと栄養をプラスすることができます。
グラノーラ:乾燥おからをグラノーラに混ぜて、朝食やおやつに食べることができます。
また、おからパウダーでパンや麺などを作ることもできます。
おからを利用した料理は、準備が簡単でコストも低く抑えられるため、日々の料理に気軽に取り入れることができます。
おからは、私たちの健康と地球の未来を支える存在であり、まさにサステナブルなスーパーフードと言えます。
おからを日々の食卓に取り入れてみてください。きっと、おからの美味しさ、栄養価、そして環境への貢献を実感することができるでしょう。
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