7月26日は「土用の丑の日」。この時期になると、スーパーやお店にはおいしそうなうなぎがずらりと並び、香ばしい香りに食欲をそそられます。
「土用の丑の日」は、夏バテを防ぐために栄養のあるものを食べる日本ならではの風習です。家族でうなぎを囲むのを毎年の楽しみにしている方もいらっしゃいますよね。
一方で、毎年この時期になるとニュースで耳にすることがあるのが、売れ残ったうなぎの大量廃棄です。実は、うなぎだけでなく、季節のイベントや行事食は需要が一気に集中するため、食品ロスが発生しやすいタイミングでもあります。
せっかくの日本の楽しい行事。今年は一歩進んで、「おいしく食べること」と「もったいない」の両方に、ちょっとだけ目を向けてサステナブルに過ごしてみませんか?
「土用の丑の日」ってどんな日?

「土用の丑の日」と聞くと、「うなぎを食べる日」というイメージが強いですよね。でも、そもそも「土用の丑の日」とは、どのような日なのでしょうか。
「土用」とは、立春・立夏・立秋・立冬の前、およそ18日間を指す言葉で、季節の変わり目を意味します。そして「丑の日」は、日にちを十二支で数えたときの、いわゆる「ウシ(丑)」の日のこと。つまり、その期間の中で十二支の「丑」にあたる日が「土用の丑の日」です。
実は土用は年に4回ありますが、特に夏の土用は暑さで体力を消耗しやすいため、滋養のあるものを食べて元気をつけようという文化が生まれました。
ちなみに、なぜ「うなぎ」になったかというと、江戸時代、夏場はうなぎが売れず困っていたうなぎ屋が、学者・平賀源内に相談したところ、「本日、土用丑の日」と店先に貼り紙を出すことを提案したという有名な逸話があります。それが評判を呼び、「土用の丑の日にうなぎを食べる」という文化が広まったといわれています。
もちろん、諸説あるものの、日本ならではの食文化として今も多くの人に親しまれています。季節の節目に旬や栄養を意識して食べるという考え方は、現代の私たちにも受け継ぎたい知恵の一つですね。
「土用の丑の日」の裏で起きていること

「土用の丑の日」への需要集中
「土用の丑の日」は、多くの人がうなぎを買い求める特別な一日です。
お店としては「せっかく買いに来てくれたお客様をがっかりさせたくない」「たくさん売るチャンスを逃したくない」という思いから、どうしても多めに仕入れがちになります。しかし、イベント当日を過ぎてしまうと、あれだけ人気だったうなぎの売れ行きは一気に落ちてしまいます。
この短期間に需要が集中することが、大きな売れ残りリスクを生む原因になっているのです。
近年では、予約販売を取り入れたり、発注数量を細かく調整したり、売れ残りそうな商品を値引き販売したりと、食品ロスを減らすための取り組みが広がっています。それでも、天候や気温、人出などの影響で予想が外れることもあり、毎年のように売れ残りが話題になることがあります。
うなぎ資源と食品ロス
さらに深刻なのが、私たちが食べているニホンウナギが、「絶滅危惧種」に指定され、資源の減少も懸念されています。ただでさえ貴重な資源であるにもかかわらず、需要に合わせた無理な調達により、密漁や不正な流通が問題になることもあります。
「せっかく獲ったうなぎが食べられずに廃棄される」という状況は、食品ロスだけでなく貴重な資源を無駄にしてしまうことにもつながります。
でも、最近は嬉しい変化も起きています。
多くのスーパーやコンビニが、食品ロスを減らそうと「完全予約制」を取り入れたり、当日の仕入れ量をコントロールしたりと、無駄のない販売方法へシフトし始めているのです。私たち消費者が「必要な分を予約して購入する」という行動に変えるだけでも、この大量廃棄を大きく減らす一歩になります。
知ってた?「う」のつく食べ物で夏バテ予防とロス削減

うなぎだけじゃない
「土用の丑の日」といえば「うなぎ」が定番ですが、実は昔から「『う』のつく食べ物を食べると夏負けしない」という言い伝えがあり、うなぎ以外にも「う」のつく食べ物を食べて夏バテを防ぐ風習がありました。
もちろん、「う」のつく食品には、この時期にぴったりな理由がちゃんとあります。
たとえば、クエン酸たっぷりで疲労回復に効く「梅干し(うめぼし)」、ツルッと食べやすくて消化に良い「うどん」、水分とミネラルが豊富で体を冷やしてくれる「瓜(うり)」科の野菜(きゅうり、スイカ、冬瓜など)。他にもスタミナ満点の「牛肉」など、身近な食材ばかりです。
うなぎも栄養価の高い食材ですが、「土用の丑の日だから必ずうなぎを食べなければならない」というわけではありません。
冷蔵庫の中にある「う」のつく食材を活用したり、買い置きしていた食材をおいしく食べ切ったりすることも、立派な「土用の丑の日」の過ごし方です。
食材を無駄なく使い切ることは、食品ロスを減らすだけでなく、家計にも環境にもやさしい選択です。昔の人の知恵は、今の「サステナブルな暮らし」にも通じるものがあるのかもしれません。
今年は「何を食べるか」だけでなく、「今ある食材をどう活かすか」という視点でも、「土用の丑の日」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
薬味も最後までおいしく
「やっぱり当日はうなぎを楽しみたい!」という場合も、ちょっとした「もったいない」のポイントがあります。
うなぎのお供に欠かせない、大葉、みょうが、ねぎといった薬味です。香りや風味が加わることで、暑い日でもさっぱりとおいしくいただけますよね。
しかし、これらは1回に使う量が少ないため、パックで買うとどうしても余らせてしまいがちです。薬味は傷みやすいため、冷蔵庫に入れたまま気づけばしなびてしまい、捨ててしまうことも少なくありません。
そんなときは、翌日の食卓で使い切るのがおすすめです。刻んだ大葉やみょうがは冷ややっこやそうめん、納豆にのせるだけで風味がアップ。ねぎは卵焼きやチャーハン、味噌汁の具材として活躍します。
特におすすめなのが、余った端っこ野菜や薬味をまとめてザクザク刻み、醤油、ごま油、少々の砂糖と白ごまに漬け込むだけの「即席・万能薬味だれ」です。
これを冷蔵庫に一晩置いておくだけで、絶品調味料の完成です。冷奴やそうめんにかけたり、焼いたお肉や魚に添えたりと、さまざまな料理に活用できます。夏にマンネリ化しがちな麺類もおいしくアレンジできて、中途半端な野菜のロスも気持ちよく使い切ることができます。
また、薬味は細かく刻んで冷凍保存しておくのも便利。必要な分だけ使えるので、最後まで無駄なく使い切ることができます。
特別なことをしなくても、「余った食材をもう一品に活かす」という小さな工夫の積み重ねが、土用の丑の日をもっとサステナブルに楽しむことにつながります。土用の丑の日をきっかけに、食材を最後までおいしく味わう習慣を始めてみませんか。
「土用の丑の日」は、夏を元気に乗り切るための知恵として受け継がれてきた、日本ならではの食文化です。うなぎを味わうのもよし、「う」のつく食べ物を楽しむのもよし。大切なのは、季節の行事を楽しみながら、食べることに感謝する気持ちではないでしょうか。
日本の豊かな食文化を心から楽しみつつ、お買い物は「必要な分だけ」を意識する。そしておうちにある食材は「最後までおいしく食べ切る」。そんな一人ひとりの小さな心がけが、実はとても大きな力になります。
私たちの身近な行動一つひとつが、生産者や販売者、そして限りある食資源を守ることにもつながっています。
今年の夏は、お腹も心も満たされるサステナブルな過ごし方で、元気に暑さを乗り切っていきましょう!
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