ロスゼロブログ

カテゴリ一覧

知って安心!食べ残し持ち帰りのルールとマナー

公開日: 更新日:2025.12.07
プラスチック容器に入れられた残り物


外食先で食べきれなかった料理、あなたはどうしていますか?
フードロスを減らすために「持ち帰り」を検討する人が増えていますが、安全においしく持ち帰るにはいくつかのルールや注意点を押さえることが大切です。

消費者庁のガイドラインに基づいた食べ残し持ち帰りの基本ルールから、持ち帰りOKな食品・NGな食品の見分け方、そして安全に持ち帰るための方法まで詳しくご紹介します。

食べきれる量を頼むことが大前提ですが、万一に備えて、これを読んでおけば、安心して食べ残しを活用し、フードロス削減に貢献できます!


食べ残し持ち帰りの基本ルール

食べ残し持ち帰り促進ガイドラインちらし


食べ残し持ち帰り促進ガイドライン

食べ残しを持ち帰る文化は、食品ロス削減に向けた大切な取り組みの一つです。
日本でも、飲食店や自治体が独自のガイドラインを設け、食べ残しの持ち帰りを推奨する動きが広がっています。例えば、消費者庁は食品ロス削減の一環として"mottECO"という取り組みを提唱しています。このような活動を背景に、持ち帰り文化が少しずつ普及しています。

2024年12月、消費者庁・厚生労働省は「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」を新設しました。このガイドラインは、消費者と事業者の双方に対して、食べ残しの持ち帰りに関する意識を高め、食べ残しの持ち帰りを通じて、食品ロス削減に寄与し、持続可能な社会の実現を目指しています

食べ残しを持ち帰ることは、単に食料を無駄にしないだけでなく、環境負荷の軽減や経済的なメリットにもつながります。

ただし、持ち帰りにはいくつかのルールや注意点があります。飲食店によっては、持ち帰りが可能な食品や条件が明確に示されていることもあります。例えば、高温で再加熱できる料理や容器に入れやすい食品はOKとされる場合が多いです。一方で、生ものや食中毒リスクの高い食品は基本的にNGです。

事前にガイドラインを確認し、店員さんに相談することで、安心して持ち帰りを実施できます。


基本ルールを押さえよう

食べ残しを持ち帰る際には、いくつかの基本ルールを理解しておく必要があります

まず、食品が安全に保存できる状態を保つことが最も重要です。持ち帰る際は、衛生的な容器を使用し、可能であれば保冷剤を持参しましょう。特に暑い季節には、短時間であっても温度管理を徹底する必要があります。

また、持ち帰りは消費者側のマナーも問われます。大量に注文して持ち帰るのではなく、適量を注文し、残った分だけを持ち帰るのが理想です。このような配慮が、飲食店との良好な関係を築くことにもつながります。

さらに、持ち帰り後の保存方法も重要です。すぐに食べる予定がない場合は冷蔵保存を行い、再加熱する際には中まで十分に熱を通しましょう。

このような基本的なルールを守ることで、食品ロス削減だけでなく、安全に食事を楽しむことができます。


持ち帰りの自己責任について

食べ残しを持ち帰る際には、自己責任が伴います。飲食店側が食べ残しを持ちかえらせることを義務付けられているわけではありません。

持ち帰った食品が原因で体調を崩しても、基本的には飲食店の責任にはなりません
このため、消費者自身がリスクをしっかりと理解し、適切な対策を取ることが求められます。

例えば、食中毒を避けるためには、持ち帰った食品を適切な温度で保存し、早めに消費することが大切です。特に、ご飯や麺類、汁気のあるものなど、傷みやすい食品には注意が必要です。

また、持ち帰り用の容器が使い捨ての場合は、清潔な状態であることを確認しましょう。

飲食店側も、食べ残しを持ち帰りたいという客に対して、可能な限り協力することが求められます。また、消費者に注意喚起を行うことも重要です。
例えば、メニューやレシートに注意事項が記載されていることがありますので、消費者は確認する習慣を持つことが必要です。

このように、持ち帰りには自己管理が不可欠であり、消費者と事業者双方が正しい知識を持つことで、食品ロス削減と安全な食事を両立させることができます。


持ち帰りOKな食べ物

皿に盛られた手羽先、フライドポテト、ざるに盛られた枝豆


加熱済み料理がおすすめ

食べ残しを持ち帰る際に最も安全なのは、加熱済みの料理です。例えば、焼き鳥や揚げ物、煮物、炒め物などは、一度火を通しているため、食中毒のリスクが比較的低いです。

このようにすでに調理が完了している食品は保存が比較的簡単で、持ち帰り後も安全に消費しやすい特徴があります。カンピロバクターやサルモネラ菌などの食中毒菌は加熱によって死滅するため、加熱済みの料理は細菌の繁殖リスクが低く、温度管理をしっかりすれば食中毒の危険性も抑えられるからです。

さらに加熱済みの料理は、風味も損なわれにくく、自宅で温め直しても美味しく食べられます。ただし、完全に冷めてから容器に移し、密閉して持ち帰るようにしましょう。

また、飲食店でも加熱済みの料理は持ち帰りを前提として提供されることがあります。
日本食品衛生協会のデータによれば、食品の安全な保存温度は5℃以下または60℃以上とされています。適切な温度を維持することで、加熱済みの料理を安心して持ち帰ることができます。

特に宴会やパーティーで余った料理は、加熱済みのものから優先して持ち帰るのが賢明です。


再加熱可能な食品が安心

持ち帰りに適している食品として、再加熱が可能なものもおすすめです。例えば、スープ、シチュー、パスタやご飯などは、持ち帰り後に再加熱ができるため、食中毒のリスクを大幅に低減できます。
これらの食品は、一度冷めても温め直すことで安全性を確保しつつ、風味を損なわずに楽しめる点が魅力です。ただし、再加熱する際は、中心部までしっかりと火を通すことが大切です。

また、再加熱可能な食品は、保存時間を長くすることができるというメリットもあります。厚生労働省の指針では、調理済み食品の冷蔵保存期間は2日以内が推奨されていますが、再加熱することでより安心して食べられる可能性が高まります。特に、翌日以降に消費する予定がある場合は、再加熱可能な食品を選ぶと良いでしょう。

安全性を高めるポイントとして、持ち帰り用の容器が耐熱性であることを確認してください。また、持ち帰った後はできるだけ早く冷蔵保存し、食べる直前にしっかりと再加熱することを心がけましょう。


持ち帰りやすい食品の選び方

持ち帰りを考える際には、運びやすさも大切な要素です。
汁気が少ない料理や、固形物が崩れにくい料理は、持ち運び中にこぼれる心配が少なく、おすすめです。また、お弁当やサンドイッチ、ピザなど、容器や包装に収まりやすい食品は、持ち運び中のこぼれや汚れを防ぎやすいです。パスタは、ソースと麺を分けて持ち帰ると、再加熱の際に麺がくっつきにくく、美味しく食べられます。

さらに容器の選び方も重要です。汁気を含んだ料理を持ち帰る場合は、密閉性の高い容器を選びましょう。お弁当箱のような仕切り付きの容器を使うと、さまざまな種類の料理をまとめて持ち帰ることができます。

保冷剤を使用することで、食品の鮮度を保つことができます

加えて、食品が持ち帰り後に崩れにくいかどうかもポイントです。例えば、ケーキや寿司のように繊細な食品は、持ち帰り中に形が崩れる可能性があります。そのため、持ち帰る際には、食品を固定できる包装やトレーが付属しているかを確認すると良いでしょう。

さらに、飲食店で事前に容器を持参しても良いかどうかを確認するのも一つの方法です。
環境省のデータによれば、日本では年間約500万トンのプラスチック廃棄物が発生しています。容器を持参することで、プラスチックごみの削減にも貢献できます。

安全性と環境保護の両方を意識した食品・容器選びが、持ち帰り文化の定着に繋がります。


持ち帰りNGな食べ物

氷の入った器に盛りつけられた刺身


生ものは厳禁

食べ残しを持ち帰る際に、絶対に避けたいのが生ものです。刺身や寿司、生卵を使用した料理は、温度管理が難しく、持ち帰り後に食中毒を引き起こすリスクがあります。
特に、刺身などは常温に放置すると数時間で細菌が繁殖する恐れがあるため、持ち帰りは避けるべきです。

日本食品衛生協会によれば、生魚や生肉は10℃以下の冷蔵状態を維持する必要があります。
しかし、持ち帰り中に適切な温度管理をするのは現実的に難しい場合が多いです。特に夏場は気温が高いため、食中毒のリスクはさらに高まります。
また、これらの食品は飲食店で提供される直前に新鮮な状態を保つよう管理されているため、持ち帰った際の安全性を保証することができません。

生ものはその場で楽しむのがベストです


食中毒リスクを伴う食材

生ものだけではなく、食中毒のリスクが高い食品も、持ち帰りに適していません。
特に、生卵や生クリーム、未加熱の肉を使った料理、炊き込みご飯や炒飯など、湿気の多い料理は細菌の繁殖が早く進む場合があります。これらの食品は、常温での放置時間が長くなると、サルモネラ菌や黄色ブドウ球菌などのリスクが高まります。
また、長時間常温に放置されていた料理も、細菌が繁殖している可能性があるため、注意が必要です。

さらに、ポテトサラダやコールスローなど、冷蔵が必須なサラダ類も注意が必要です。持ち帰る場合でも、すぐに冷蔵保存し、できるだけ早めに消費することが重要です。

リスクを避けるため、食中毒の危険が高い食品は避けるのが無難です

食中毒にかかってしまうと、下痢や嘔吐、腹痛などの症状が現れ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。せっかく外食を楽しんでも、食中毒になってしまっては元も子もありません。


店舗で禁止されるケース

飲食店によっては、食べ残しの持ち帰りを禁止している場合があります
このようなケースでは、法律や衛生面のリスクが関係していることが多いです。例えば、生ものや乳製品を含む料理は、提供後の品質保証が難しいため、店舗側が責任を負いかねる場合があります。

食品衛生法上、飲食店は提供する食品の安全性を確保する義務がありますが、持ち帰り後の管理については保証する必要がありません。そのため、持ち帰りを許可するかどうかは店舗の判断に委ねられています。
実際、多くの飲食店では「衛生管理のため持ち帰り不可」と明記されている場合があるため、事前に確認することが大切です。

店舗側のルールに従うことは、消費者と飲食店の信頼関係を守ることにもつながります。持ち帰る際は、必ずお店の人に確認するようにしましょう。
特に衛生管理が難しい食品については、店舗で提供される範囲内で楽しむことを心がけましょう。

安全な持ち帰り方法と注意点

持ち帰った食品をお皿へ並べたあと


清潔な容器で持ち帰ろう

食品を持ち帰る際、清潔な容器を使用することは最も基本的で重要なポイントです。
飲食店が提供する容器は通常使い捨てで衛生的ですが、容器がきれいであることを必ず確認してください。不衛生な容器を使用すると、食品が菌に汚染され、健康リスクが高まります。

さらに、食品の種類に適した容器選びも大切です。
スープや煮物など液体を含む料理には、密閉性の高い容器を使うと漏れを防げます。

プラスチック廃棄量を減らすために再利用可能な容器を活用する家庭もありますが、容器は食器用洗剤を使ってしっかりと洗い、乾燥させたものを用意しましょう。

清潔で適切な容器を用意することで、安全かつエコな食べ残しの持ち帰りが可能になります。


持ち歩き時の衛生管理ポイント

食べ残しを持ち歩く際の衛生管理は、食中毒を防ぐために欠かせません。特に、持ち帰り時間が長くなる場合、食品が適切な温度で保たれるよう工夫することが大切です。
食品衛生の観点から、温かい食品は60℃以上、冷たい食品は5℃以下での管理が推奨されています。また、長時間日光に当てると、食品の品質が低下し、食中毒の原因となる可能性もあるので、注意が必要です。

保冷バッグや保冷剤を活用することで、温度を適切に保ち、直射日光を遮断することができます。特に、夏場のように気温が高い季節では、保冷対策が必要不可欠です。
また、移動中の振動や衝撃で食品が傷まないように、容器をしっかりと固定することもポイントです。公共交通機関を利用する場合は、周囲の人々に迷惑をかけないように注意しましょう。

安全な持ち帰りを実現するためには、移動中の衛生管理を徹底することが重要です。


保存方法が重要

食品を安全に楽しむためには、持ち帰った後の保存方法が非常に重要です。

冷蔵庫の温度は、食品の種類によって異なりますが、食品衛生法の指針では、冷蔵保存が必要な食品は5℃以下で保存することが推奨されています。これにより、細菌の増殖を抑えることができます。
また、冷凍庫に保存する場合は、食品の種類や保存期間に応じて、適切な温度を設定しましょう。

冷蔵保存の際には、食品を小分けにすることで冷却効率が向上し、安全性がさらに高まります。また、温かい食品をそのまま冷蔵庫に入れると庫内の温度が上昇し、他の食品が傷む原因になりますので、必ず粗熱を取ってから保存してください。

さらに、保存容器の選び方も重要です。密閉容器を使うことで、食品の乾燥や他の食品への臭い移りを防げます。

正しい保存方法を実践すれば、持ち帰った食品を安全に美味しく楽しむことができます


再加熱は徹底して

食品を持ち帰った後、再加熱を徹底することが安全性を確保する鍵です。持ち帰り時に菌が増殖している可能性があるため、再加熱でしっかりと殺菌することが大切です。
厚生労働省のガイドラインでは、食品の中心温度が75℃以上になるまで加熱することが推奨されています。

再加熱する際は、中心部までしっかりと火を通すことが大切です。肉料理などは、切り分けて中心部まで火が通っていることを確認しましょう。
ただし、温め直しすぎると、食品の水分が失われ、パサパサになってしまうため、注意が必要です。

電子レンジを使用する際は、食品全体が均一に温まるように注意してください。特にスープや煮物など液体を含む食品は、途中でかき混ぜると温度ムラを防げます。

また、再加熱後はすぐに食べるのが基本です。再加熱を繰り返すと風味が損なわれるだけでなく、安全性も低下する場合があります。

再加熱を徹底することで、食中毒のリスクを最小限に抑え、持ち帰り食品を安心して楽しむことができます



食べ残しの持ち帰りは、フードロスを減らしながら地球にも優しい行動です
一人ひとりがルールとマナーを守り、安全に楽しむことで、持ち帰りがより身近で有意義なものになるでしょう。

小さな一歩が、大きな変化を生み出す第一歩になります。



同じカテゴリの他の記事はこちら

ロスゼロブログ一覧へ

この記事を書いた人

中山

地球を愛する料理研究家であり、SDGsと食品ロスに情熱を傾けるライターです。食品ロス削減を通じて、環境保護と健康的な食生活の両立を促進し、持続可能な社会の実現を目指しています。趣味は家庭菜園。

監修者

文 美月

株式会社ロスゼロ 代表取締役
大学卒業後、金融機関・結婚・出産を経て2001年起業。ヘアアクセサリーECで約450万点を販売したのち、リユースにも注力。途上国10か国への寄贈、職業支援を行う。「もったいないものを活かす」リユース経験を活かし、2018年ロスゼロを開始。趣味は運動と長風呂。