最近、商店街やオンラインストアで賞味期限が切れた食品を販売している店舗をよく見かけませんか?
実は、これは違法ではありません。
この記事では、「賞味期限」や「消費期限」の意味について再認識し、賞味期限が過ぎた食品を売ることのルールについて説明します。
また、海外の食品の期限表示規則について学び、食品ロスを削減するためにできることを考えていきましょう。
賞味期限と消費期限の違いとは何か
賞味期限と消費期限:基本的な定義
賞味期限とは、製造者が品質を保証する期間を指し、通常はこの日付までに商品が最良の状態であることが保証されます。
一方、消費期限は、食品が安全に食べられる最後の日を示します。
これらの日付を過ぎても食品が必ずしも危険とは限りませんが、品質が劣化する可能性があります。
また、どちらも開封前の状態での保障期限となっているため、開封後は期限に限らず早めに食べることが推奨されています。
(農林水産省HPより)
賞味期限と消費期限が過ぎた食品は食べても大丈夫?
賞味期限が過ぎた食品は、色、香り、食感などの品質が低下する可能性がありますが、必ずしも食べられないわけではありません。
しかし、消費期限が過ぎた食品は、食材の腐敗や食中毒のリスクが高まるため、食べることは推奨されません。
賞味期限はどうやって設定される?
賞味期限の主な設定方法は、保存中の微生物の増幅を検査(微生物試験)、実際に試食(官能試験)、栄養成分・pH値等の分析(理化学試験)の3つの試験を通じて、美味しく食べられる目安の期間が決まります。
その後、この期間に企業ごとに設けられた「安全係数」(1より小さい数字)を掛けて賞味期限が設定されます。
消費者庁は、加工食品のガイドラインとして0.8以上の安全係数の使用を推奨しています。
例えば、試験に基づいて10ヶ月間美味しく食べられると判断されたインスタント麺があった場合、安全係数0.8を使用すれば、賞味期間は8ヶ月となり、その日付が商品に印字されます。
なお、日持ちが短い「消費期限」の食品においても、安全係数0.5を採用するケースがあります。
製造工場から出荷された食品が置かれる環境は多様であるため、そのリスクを考慮して安全係数が設けられます。
食品の賞味期限切れ商品の販売に関する責任と規定
店舗と消費者の責任
賞味期限切れの食品を販売する場合、店舗と消費者双方には一定の責任があります。
店舗は、商品の賞味期限と品質を密接に監視し、消費者に対して明確な情報を提供する責任があります。また、消費者は、購入前に賞味期限を確認し、自己責任での消費を心掛けるべきです。
法律による賞味期限切れ商品の販売規定
日本の食品衛生法では、賞味期限切れの食品の販売自体は禁止されていません。
しかし、健康を害する食品を販売する行為や、食中毒などの事故を引き起こした場合は、食品衛生法などの法律に抵触するため、消費期限切れ食品の販売は慎むべきだと明記されています。
賞味期限切れ食品の利用方法
企業で発生する食品ロスの現状
環境省のデータによると、令和3年度の日本国内の食品ロスは年間約523万トンと推計されています。
その中でも、食品メーカー等で発生する事業系食品ロスは約53%を占めており、3分の1ルールや賞味期限切れによる廃棄が大きな割合を占めているため、これを有効利用することで食品ロスを大幅に減らすことが可能となります。
食品ロス削減のカギ「3分の1ルール」とは? 生活に欠かせない流通のお話
フードシェアリングの促進
フードシェアリングは、余剰の食品や調理済みの食事を共有する概念であり、食品ロス削減の一助となります。
例えばロスゼロのように、食品ロス削減を目指すオンラインストアでロスになった理由とともに商品を販売したり、フードバンクへ寄付をすることで、フードシェアリングに繋がります。
スーパーの店舗での食品ロスを削減する取り組み
スーパーマーケットや食品小売業界からは年間約66万トンの食品ロスが発生していると、農林水産省食料産業局の2018年度のデータが示しています。これは日本の全食品ロス量の約10%に相当します。
この問題を解決するためにスーパーマーケットでは、販売期限の見直し、値引きによる売り切りの推進、少量販売や小口販売の促進、発注の効率化、そして子ども食堂の開設など、さまざまな取り組みをしています。
海外の賞味期限切れ食品の販売
賞味期限切れ食品の取り扱い:海外の事例
デンマークの「WeFood」は「食品ロス専門スーパー」で、廃棄予定の食品を収集し、市場価格の30%〜50%引きで販売して食品ロスを削減しています。
商品は、賞味期限が過ぎた飲料やお菓子、パッケージの欠陥品、発注過程で発生した余剰の野菜や果物など多岐にわたります。
Wefoodは誰でも利用可能で、低所得者層だけでなく、食品ロス削減に貢献したい人、低価格で商品を購入したい人、貧困国の人々への支援を行いたい人などが利用しています。
世界初!デンマークの食品ロス専門スーパー「Wefood」とは?
アメリカの食品の期限表示に関する法規制
世界食糧計画(WFP)によると、全世界で年間13億トンの食品が無駄になっているとされています。
国や地域によって賞味期限に関する法規制は大きく異なり、その違いは消費者保護の水準や食品ロス削減の取り組みにも影響を及ぼします。
アメリカでは、食品の期限表示に関する規制が州によって異なります。連邦法では大部分の食品に対する期限表示は必須ではなく、唯一、「幼児用食品」に期限表示が義務付けられています。
一部の州では、酪農製品や肉製品に対して期限表示が義務付けられています。期限切れの食品の販売についても、各州の規定によります。
ヨーロッパの食品の期限表示に関する法規制
ヨーロッパ連合では、食品の「最低消費期限」または「使用期限」の表示が義務付けられています。
使用期限は食品の安全が保証される期限を示し、これが過ぎた食品の販売は違法です。
最低消費期限は品質が保証される期限であり、これが過ぎても法的には販売可能ですが、食品の品質については責任を負います。
また、 フランスではスーパーマーケットが廃棄食品を寄付することを義務付ける法律が施行されています。
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